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人生の1/3を共に。産業用PCの過去、現在について

筆者はいわゆる産業用PCの業界に入ってからかなりの歳月が立ちました。顧みると私の人生の1/3以上の期間になります。当初は産業用PCのメーカー自体が少なく、競合他社も少ない市場でしたため、お客様へ少し付加価値を提供することで喜んでいただき、受注につなげることが出来た時代でした。

その付加価値はというと、シンプルな4Uシャシーでパソコンを組み上げるというちょっとしたことでした。
例えば電源400W、メモリー512M, HDD(IDE)80G*2, Raid 1の機能が欲しい。などといったお客様へは次のような組み合わせにてご提供していました。

4U Chassis
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(出典:https://www.rackmountmart.com/rm4u/rm4020.htm

バックプレーン:右下部分の空間はATX電源のためのスペース
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(出典:wikipedia

メインCPUボード
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(出典:https://www.kmecs.com/products/detail_814.html

その他各種IO拡張カード
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(出典:PC Watch (出典:amazon.co.jp/

当初は以下のIO拡張が主流でした。

  • USB2.0カード:現在ではほとんどのボードUSB2.0が付いているため考えられませんが、当初はUSB2.0が必要なだけでPCIからUSB2.0への変換カードが必要だった時期もありました。

  • SCSIカード:当時パラレル転送のATAはスピード、品質が低いため、ハイエンドシステムはSCSIを使う傾向がありました。

  • LANカード:安価なボードにはLANポートがないのもありました。あるいは標準搭載のものは10M LANしかないため、100MのFast LANバージョンを追加することも多かったです。

  • AGPカード:AGPはAccelerated graphic portの略。現在はCPUから直接ディスプレイポートが出ていますが、当初はNorth Bridge経由でAGPカードを付けることで初めてなめらかな動画が見られました。

  • RAIDカード:現在、ハイエンドチップなら内蔵している機能ですが当初はほとんど別途カードが必要でした。

音声カード:音を出すためのカード(ブザー音ではなく、音楽を流すことができる音源)
上記のさまざまな拡張カードを追加する必要があったということから、昔の産業用PCはいかにも専業的であったかが分かります。

さらに、HDD
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(出典:amazon.co.jp/

メモリー

É}7(出典:amazon.co.jp/これらを組み立てるのはとても一般的です。違う意味でみれば当初の産業用PCはほぼすべてカスタム製品です。
今では考えられませんが、昔ではEthernetがない、あるいは100M(Giga自体が当時はまだレア)のスピードが必要であったため、PCIカードを追加します。Raid1のためカードを追加するリクエストがよくありました。

▼産業用PC特集はこちら▼
IndustrialPC

いまでは殆どの場合はこのようなボックスPC一台ですべてのニーズをカバーできます。
このようなボックスPCは展示会で簡単に数十種類の製品と出会えます。(そしてほとんど似たよう物)。
ここで突然ですが、話はちょっと脱線してビジネス上でよく聞くユダヤ人と中国人の違いがあります。
1人のユダヤ人がアメリカでホテルを経営してかなり儲かりました。2人目のユダヤ人がそれをみてホテルの隣にレストランを開き、それも大繁盛しました。3人目のユダヤ人が八百屋を始め、それもまた成功、、、といったように違う人間が違うマーケットを狙ってお店を展開しました。
中国(華)人の場合は1人の華人がアメリカでホテルを経営してかなり儲かりました。2人目の華人がそれをみて向かい側にもホテルを経営しはじめ、それもまあまあ成功しました。3人目の華人がそれを見てホテル経営は儲かると認識し、また同じように新しくホテル経営を始め、4人目、5人目、、、みんな同じことをするのです。結局そのホテル経営ビジネス顧客が分散することで皆が苦しくなりました。
いまの産業用PCはまさにその通りです。
台湾の産業用PCメーカーは当初(20年前)は3-5社しかありませんでした。現在では産業用PCメーカー数は3桁に上り、競争が非常に激しくなり、差別化ができない商品においては値段勝負となっています。
とは言いながらも実は産業用PCメーカは皆それぞれアプリに特化する商品と変化をみせています。
よくあるジャンルでいうと例えば
鉄道認証を受けたソリューション
医療器認証を受けたソリューション
POSに特化したソリューション
ステンレスで錆びない食品工場専門ソリューション など。

しかし、正直なところ現状では差別化の敷居が低く、ほとんどのメーカーにできてしまうことです。
そうなると成熟した産業のようにあとは経営効率化により、時間と共に競争力の低いメーカーを排除するしかなくなると考えます。
いま産業用PCで区別化できるポイントとしては2つあります。
それは「AIソリューションの付加」と「高性能SSDの搭載」です。
AIソリューションの付加はやや敷居が高いかと思いますが、高性能SSDはそれに比較すると敷居は低いのです(例えばSLCデータのレスキューができる、瞬断対応、読み書きスピードは時間と共に低下しない、動作温度が広い、、、など)。
勿論これはあくまでも筆者個人の意見になります。
現代のAI時代に最適な産業用PCがあれば価格競争から抜け、一歩前進をいけるのではないでしょうか。

次回は産業用PCのブルーオーシャンについて話してみたいと思います。

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