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COMeからQsevenへ変更するメリット

大は小を兼ねる、余裕を持つという意味であればそれはいいことです。しかし、組込みの世界でボードを選ぶ際には、この考え方は結構無駄に結びつきます。なぜなら、組込み製品では「Over specは製品の競争力を落とす」ことに繋がります。

ここで、実際あった話をご紹介いたします。
昔あるお客様が、Intel社 Atom N270を搭載したCOMeの採用を決定しました。もし、N270を使うならCOMeではなくQsevenというForm factorのボードでも十分でしたが、お客様はCOMeに拘り、COMeを選びました。
理由は、将来もっと高SPECなCore i シリーズのCPUを搭載した製品をリリースする場合に、すぐ切り替えができるからです。
しかし、実際十年後にお客様が製品のアップグレードの際に採用したCPUは、Core i シリーズのCPUではなく、同じAtom シリーズのN270からN4200へアップグレードしました。

もしあの時に、Qsevenを採用していれば、一台当たり、約4000円のコストダンができ、年間3000台、10年間のプロェクトでは、単純計算すると、
4000円 * 3000台 * 10年 = 120,000,000円
つまり、1億2千万円を無駄にしてしまったことになります。

よく考えてみると、Atomをcore iに変更したい理由は、主に2つのパターンあります。
① CPUの性能を上げたい
② IOを増やしたい。
ただ、①の場合、消費電力が上がり熱も問題となるため、システムを設計し直す必要があるかもしれません。また、②の場合も同様に、キャリアボードを設計し直す必要あるかもしれません。つまり、高SPECなCPUに切り替えることは、それほど簡単ではありません。

一方、N270からN4200へのアップグレードでは、CPUの製造プロセス改良により、同じ消費電力でCPU演算力が大幅に向上しています。

COMeとQsevenの比較の中にもう一つ重要なポイントがあります。

COMeのコネクタは高価で、機械的な強度も電気的な特性でもQsevenが使っているMXMコネクタより、とても強いです。しかしシステム全体の構成を見るとQsevenのメモリーが基板に半田付けされているのに比べ、COMeでは搭載されているSO-DIMMメモリーとなるため、とても振動に弱いです。

結局、Atom CPUを採用する場合には、COMeはQsevenより価格が高くて、耐振動には弱いです。簡単に表でにすると下記のようになります。

  Qseven COMe
コネクター数 ない 二つ
サイズ 小さい 大きい
SOM価格 安い 高い
メモリー耐振動 半田付け:強い SO-DIMM:弱い
実績 多い 多い
メーカ 多い 多い

それでもCOMeは有名であり、製造しているメーカが多く、実績も多いと考えている人がいるかもしれないが、実際ではIPCメーカのほとんどは、COMeと Qsevenの両方を生産しています。現在の出荷数量もCOMeとQsevenの出荷数量はほぼ同じで、COMeの方は単価が高いため、総出荷金額は高くなっているだけです。ただ、COMeがダメという意味ではありません。組み込みの応用に関してHigh endのCPUが必要な場合はCOMeが主流であることに間違いありません。
例えばXeonほどの計算能力が必要で、どうしてもPCIe*16のスピードがほしい、USB3.0は4ポート欲しい、などではCOMeはベストチョイスです。しかしそういう機能を必要としないのにCOMeを選ぶのはOver SPECであり、製品の競争力を下げる行為になります。COMeからQsevenへの切り替えによって、コスト削減のメリットだけではなく、振動に強く対環境性の高い製品構築が可能です。余談ですが、世界で有名なロボット(N)も日本の有名なロボット(P)もQsevenを採用しています。

弊社は技術商社としてQseven製品を多数取り扱っており、フォームファクタ選びやシステムの構成に悩みがありましたら、是非気軽に問い合わせください。

お勧めのQseven製品
Q7-B03
uQ7-A76-J

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