COLUMN
在宅でテレワークをやってみた<WEB会議システム比較編>
無料のビデオ会議システムを色々使ってみた!!
富士ソフトは多様な働き方を推進している企業で、元々コアタイム無しのフレックス勤務であったり、短縮勤務、育児休暇・介護休暇など率先して実施してきました。特に在宅勤務には力を入れており、社員の過程で会社の環境と変わりなく仕事ができる環境に対しての支給や支援は厚くなっています。物資の話は勿論ですが、社内のシステムに繋ぐためのツールなども開発し提供するのは、開発を母体とする企業ならではの取り組みだと社員の手前味噌ですが感心します。
さてそのような在宅勤務への準備を着実に行ってきた弊社でも、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響は大きく、いまでは全社員、またパートナー社員様の多くが在宅勤務(テレワーク)で働いています。2020年4月7日、日本政府より発信された緊急事態宣言から、おおよそ3週間が経過しようとしている今、在宅勤務をやってみて感じた一番の課題はコミュニケーションでした。
1.コミュニケーションの難しさ
単純な会話であれば電話で事足りますが、それは毎日でなくとも顔を合わせている同僚であったり、勝手知った中の同僚であることは前提です。昨今の状況では、非常に多くの人が在宅勤務についており、数度しか一緒に仕事をしたことが無い人、まして1回程度しか話したことが無い人、まったく接点のない人などとコミュニケーションと取らざる負えない状況に置かれています。私も実際に社内書類の決裁を書いている中で不明点がありましたが、私のパーソナリティを知らない人に、私の抱える課題を的確に伝える事が出来ませんでした。そうです音声だけでは不十分なのです。私のたとえは引合にあまり接点のない人を出してみましたが、これまで接点が多数あった人も同様です。人のコミュニケーションを構成する要素は音声、視覚的な要素、お互いのパーソナリティに関する知識、シチュエーション・・・色々なものでビルドされているのです。在宅勤務において、これまでの仕事と同じクオリティを達成するために助力となるのが、様々なWEB会議サービスです。
本コラムは在宅勤務をする中で、多種多様なWEB会議サービスを使ってみた実例と感想をご紹介し、皆様のお仕事のコミュニケーションツールとして参考にしていただけると幸いです。ただご紹介にあたり、一つだけ制限を設けさせていただくと今回ご紹介するWEB会議のサービスはすべて無料版です。有料版にすれば充実した機能は使えるのは当たり前の世界ですが、読者の皆様にまずは使ってみて合わなければ次のツールを使ってみるというトライアルを体験していただきたいからという理由になります。
2.様々なWEB会議サービス
Zoom、WebEx Meetings、Microsoft Teams、Google Hangouts、Skype、LINE・・・ これらは私が感じるところのメジャーなWEB会議サービスだと思っています。今ニュースでも、SNSでもこれらのサービスを使ったWEB会議の話を見かけない日は無いでしょう。(どちらかというとWEB会議というよりはオンラインでの飲み会の方が多いかもしれませんが…笑) みなさんはどのWEB会議サービスを利用したことがありますか?・・・私はすべての会議サービスを利用しました。利用したというのは一回だけ使ってみたではなく、今でもすべてのツールを並行して使っています。社内も社外もそれぞれがこのツールは良い!という思いや、ここではさらけ出せないしがらみから使わざる負えないなどケースは多分岐しているからだと思います・・・私はこれをWEB会議界隈の電子マネー状態と呼んでいます(私一人だけです)・・・という冗談はさておき下記表に私の調べから整理した比較表をまとめてみました。
Zoom | WebEx Meetings | Microsoft Teams | Google Hangouts | Skype | LINE | |
---|---|---|---|---|---|---|
対応デバイス | Windows, Mac, iOS, Android | Windows, Mac, iOS, Android | Windows, Mac, iOS, Android | Windows, Mac, iOS, Android | Windows, Mac, iOS, Android | Windows, Mac, iOS, Android |
チャット | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
画面共有/ウィンドウ共有 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ (画面全体のみ) |
○ (画面全体のみ) |
ファイル送受信 | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
ホワイトボード | ○ | ○ | ○ | × | × | × |
録画機能 | ○ | ○ | × | × | ○ | × |
背景加工 | ◯ (Windows, Macのみ、バーチャル背景) |
× | ◯ (Windows, Macのみ、背景ぼかし, バーチャル背景) |
× | ◯ (Windows, Macのみ、背景ぼかし) |
◯ (iOS, Androidのみバーチャル背景、Macのみ背景ぼかし) |
最大接続人数 | 100 | 100 | 250 | 10 | 50 | 200 |
アカウント登録不要 | △ホストのみ必要 | △ホストのみ必要 | △ホストのみ必要 | × | ○ | × |
Windows, Macで専用アプリインストール不要 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◯ (Chrome拡張機能が必要) |
会議時間制限 | 3名以上の会議は40分で中断 | なし | なし | なし | なし | なし |
表1.私が使ってみた無料のWEB会議サービスの整理
どのツールもほぼ全OSをサポートしていますし、基本的に会議をするにあたる昨日は遜色ありません。大きな違いはファイルの送受信ができるか、できないか。その場で手書き機能を使って意思の疎通が図れるか、会議議事として録画機能は使えるかになります。最大接続人数も会議を行うにあたっては重要な要素ですが、一番低い人数のGoogle Hangoutsでも10名で通常の会議であれば十分なキャパシティだと思います。また外部のお客様とつなぐ際に重要な機能としてはインストールが不要かどうかでしょう。いずれのツールもその点はクリアしているので問題はありません。機能面だけで言えば背景加工の違いが大きいかと思います。この機能はなかなか仕事では使うことは少ないと思いますが、SNSなどを見ているとよくオンライン飲み会等で利用されているようです。仕事にも息抜きとしてエンターテインメント性を持たせることも円滑にコミュニケーションを成立させる一要因かもしれませんね。
それではここで私が各ツールを使ってみての感想をご紹介させていただきます。
1)Zoom
コロナ危機で一躍有名になりましたが、実際に使い勝手や画質・音質のバランスはよく、今後も利用シーンは拡大していくことが予想されます。セキュリティに関しては、特に海外でのニュース記事がネット上で散見され懸念が広がっていますが、そこはさすがZoom。全速力で修正されており、すでに他のツールと遜色ないレベルになっています。(有名税でとやかく言われることは続くだろうとは思います)
2) WebEx Meetings
ビジネス用Web会議システムで圧倒的な高いシェアを持つツールで、無料版でも機能や性能は申し分ない。スマホアプリで機能が少なく、IDやパスワードなど手打で設定する必要があったり、会議主催者として会議設定の手間が多少面倒など微妙に使い勝手が良くないところもあるがその安定性は信頼が置けるものだと思います。
3) Microsoft Teams
コラボレーションツールと統合されているため、そちらを含めてのコミュニケーションツール群としての使い勝手は言わずと知れたマイクロソフト社のTeams。無料では多少制限があるものの、会社がo365やm365を契約していると有料版が使えることもあるのでフル機能で使いやすいというのが特徴。チャット形式の掲示板的なワーキンググループも使えるのだが通知の設定や、そのスレッドの見方などすこしクセがありその点は難があるのが感触です。
4) Google Hangouts
シンプルで使い勝手がよく、かつてAndroid端末には標準でアプリが入っていたこともある本積ツール。参加者全員がGoogleアカウント必須なところがハードルと言えますが、会社がG Suiteの契約をしていれば、さらに高機能なGoogle Meetまで使用可能なので自然と使用している人も多いはずです。Googleカレンダーで会議設定さえしてしまえばビデオ会議の設定は不要で、そのカレンダーから参加できてしまうのは非常に便利だと感じました。
5) Skype
その歴史は非常に長く、言わずと知れたボイス・ビデオチャットツールです。音声・映像ともに品質良好だが、独特なインターフェースとアカウント登録必須というところが使い勝手を阻害していましたが、2020年4月から「Meet Now」機能でURLクリックからユーザー登録無しで会議に参加可能になり、非常に使えるツールに変貌しました。Skypeの使い勝手は世界で周知の事実でありこのツールの普及も時間の問題かもしれません。
6) LINE
日本で最も普及している個人用SNSですが、そのビデオ会議機能は意外と使えたりします。PC用のChrome機能拡張を使えばWeb会議専用サービスっぽく使えたりしますが、その画質はあまり良くありません。すでにフレンドになっている同士だと気軽に使えるのですが、会議のために自分の個人アカウントを使うのは躊躇する人も多いということでビジネス向きではありません。ただしさすがLINE。SNSやエンターテインメントを得意とすることで人物へのARやフィルターなど多様な機能が無料で使えるので仕事のちょっとした息抜きやオンライン飲み会などでは大いに盛り上げてくれることだと思います。
3.最後に
本コラムでは皆さまの在宅勤務が、これまでの仕事の生産性により近づければという思いで自分が使ってみた感想や体験をもとにご紹介をさせていただきました。私個人の感想ですので、サービサーの意図するものと異なる点はあるかと思いますが生の声をお届けました。今回のご紹介は、無料でご利用いただけるサービスです。もちろん有料版を使えばより多くの人数を接続できWebinarを開催できたりなど、より仕事への貢献は大きなものになりますが、その前に一度無料版のWEB会議サービスを色々使ってみて、このシチュエーションにはこのツールという感触をつかんでみることが大事だと思います。正直ここまで多数のサービスがあることは混乱しますし、本意ではありませんが、逆に一つに絞る必要もないと思います。適材適所です。まだまだ厳しい状況が続いてまいりますがこのようなサービスを存分に利用して日本のモノづくりを途絶えさせないよう一緒に頑張ってまいりましょう。本コラムが皆さまの在宅勤務の助けになれば幸いと思い締めさせていただきます。
<記者プロフィール>
高瀬 和弘
SOC社コーデック製品、IPClock社製品を担当し、契約交渉人を兼務。
某大手SI会社の研究所にて、AIとマルチメディアの研究員として、自然言語研究開発、某社マルチメディアPCのアプリ研究開発および3D研究開発に従事。その後、某ゲーム会社で自社家庭用ゲーム機のSDK開発/国内外FAE部門の部長兼エキスパートエンジニアとして、また某組み込みWebブラウザ会社の開発統括部長と海外支社長を経て、現在に至る。ロンドンと台北に海外赴任経験あり。
妻、長男、母親の4人家族。3回目となる大学(法学)に在籍中、人工知能学会会員、趣味テニス。
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