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AIスピーカー(AIアシスタント搭載機器)のビジネス利用を考えてみる

Amazon Echo(アマゾンエコー)、Google Home(グーグルホーム)Line Clova(ラインクローバ)などに代表されるAIアシスタント(人工知能)を搭載したスピーカー(AIスピーカー/スマートスピーカー)。すでに自宅に設置して便利に利用している方も多いのではないでしょうか。人間同士の会話のように声で質問をすると自然な返答をしてくれる機能は、従来までのスマートフォンやパソコンを使った場合と比べると非常に便利だと思う方が多いかと思います。今はまだ天気を教えてもらう、スケジュールを確認するなど、自宅に設置して個人利用するケースが多いですが、今後はビジネス用途でも利用が広がっていくと私は考えています。このコラムでは、「AIアシスタント(人工知能)をこんな機器に搭載すると、こんな便利になるのでは?」という【ビジネス用途でのAIアシスタント(人工知能)の利用方法】を考えてみようと思います。

AIスピーカーとは?どんな使い方しているの?
リサーチ会社の調査結果を見てみよう。

はじめにAIスピーカーについておさらいしておきましょう。
AIスピーカーとは、Amazon Echo(アマゾンエコー)、Google Home(グーグルホーム)Line Clova(ラインクローバ)などに代表される、AIアシスタント(人工知能)の搭載により対話型の音声操作を可能にしたスピーカーのことをいいます。欧米圏で注目され、2017年後半から国内でもAIスピーカー、スマートスピーカーなんて名前で発売され始めています。
人間同士の会話のように声で質問をすると自然な返答をしてくれる機能は、私のような技術者には実現したかった機能の一つであり、迷うことなく購入しました。
ですが、一般的にはどうなのでしょうか?
その答えは、マーケティングリサーチに関する情報サイト「Marketing Research Camp(マーケティング・リサーチ・キャンプ)」に掲載されている調査結果「人工知能(AI)& ロボット 月次定点調査(2018年1月度)」が参考になると思います。(https://www.lisalisa50.com/research20180312_7.html)
調査結果によると、7割近い人がAIスピーカーを知っていると回答しており、皆が知っている一般的な家電となりつつあるといってよいのではと思います。AIスピーカーを利用している人(約6%)の声としては、約8割の方が満足していることがわかります。
また、もっとも利用されている機能としては、音楽コンテンツ再生(47.6%)、アラームなどのスケジュール管理(46.0%)、ニュースの読み上げ(36.5%)となっており、自宅に設置して個人利用されていることがうかがえます。AI(人工知能)が発達することでさらに便利になることを期待するという点に関しても60.7%の人が期待しているという結果が出ています。
AIスピーカー(AIアシスタント搭載機器)は、今は主に個人単位で便利に利用されていますが、一般に認知されつつあり、今後ますます便利になっていくことが期待されている機器なのです。

AI(人工知能)アシスタントを搭載した
組み込み機器のビジネス用途を考える。

今は個人用途での利用がほとんどのAIスピーカーですが、対話機能を実現するAIアシスタント(人工知能)を組み込み機器に搭載することにより、ビジネス用途でも広がっていくと私は考えています。
今現在においてAI(人工知能)のビジネス利用という点では、DeepLearning(ディープラーニング)の登場により、主に視覚+頭脳として、例えば、産業分野ではFA(ファクトリーオートメーション)機器に搭載して製造物を見て不良品を検出したり、医療分野ではレントゲン診断機器に搭載してレントゲンを見て病気の発見を行う、といったような様々な分野において活用され始めております。そして、部分的に人間を超える結果を出しているものもあります。
それに対してAIアシスタント(人工知能)は、聴覚+頭脳という位置づけになるかと思いますが、ビジネス用途での利用はいまひとつ進んでいない印象を持っています。最近のニュースでは、居酒屋の各テーブルにAIアシスタント搭載機器を設置して、話しかけるだけで注文ができるシステム(今まで注文をお客さんがタブレット経由で行っていた)や、デパートの案内板にAIアシスタントを搭載し、例えばアディダスの靴はどこに売っているの?なんて問いかけをすれば答えてくれる案内板などが紹介されていましたが、他にも様々な使い方が考えられると私は思っています。
AIスピーカーのような据え置き型組み込み機器で考えてみると、狭い地域に特化した情報を保持するAIアシスタントなんて面白そうだと思っています。
例えば、マンションの部屋に設置するAIアシスタント。
部屋の家電製品、インターフォンの操作などのコントロールができるのはもちろんのこと、そのマンションに特化したマニュアルを熟知していて、大雪が降ったときに雪かきは契約ではどうなっているのか確認したい、両親が泊りに来るので共有ルームを予約したい、粗大ゴミはいつどこに捨てる?なんて細かい疑問に即座に回答してくれるのは便利そうだし、近くの病院、近場のおいしいレストラン、近場の水道屋、なんて狭い地域だからこそ少ないながらも具体的な情報を提供してもらえるのは助かると思います。これらは、ふとした疑問に対してわずらわしいアクションなしに、聞くだけで答えてくれるAIアシスタントの利便性を生かした利用法だと思います。
また、このようなAIアシスタントをウェアラブル機器に搭載するとさらに幅が広がりそうです。例えば、医療現場で看護師さんが患者ごとに出されている医師からの指示や、その時々の患者さんの状態をメモ・共有したり、工事現場で工程の手順を確認したりできると便利なのではと思います。
いずれも両手を使わずに操作が行えるという利便性を生かした使い方が多くなるように思います。また、誰もが利用しやすい操作性という利便性を生かすことを考えると、これまで職人芸ともいえる人間の感覚でやっていたITとは縁遠い部分をデータ化する使い方も考えられるでしょう。
例えば、酒蔵や農業ハウスの温度管理などを職人が音声操作で行えば、そのデータを残すことで職人の肌感覚をコンピュータが再現する一歩となるかもしれません。このようにAIアシスタントを搭載することにより得られる利便性を生かせば、様々な利用シーンにおいてますます便利な世の中になっていくと私は考えています。

AIアシスタントの本領発揮はこれから!
必要なのは、相互接続性。

個人、ビジネスの両面で広がる可能性を秘めたAIアシスタントですが、将来を見据えたときに決定的に足りない点が「相互接続性」だと私は思っています。
今のAIアシスタントに対応した製品・サービス(スキル)を開発する際には、各ベンダーが提供するソフトウェア開発キット(SDK)を使って個別に開発を行います。例えばAmazonであればAlexa Skills Kit、GoogleであればGoogle Assistant SDKを使うことになりますが、今現在において両者に互換性はありません。したがって、今の段階においてはGoogleアシスタントにしか対応していないサービス、Amazon Echoにしか対応していないサービスを使いたいと思うと両方の機器を並べて設置しておくことになってしまいます。
また、個々のスキルを見ても各社が自社サービスの付加価値の向上という観点で出しているものがほとんどであり、複数のスキル同士が相互接続・連携できるような状態にまでなっていません。
例えば「来週会議があるから横浜までのチケットを予約して」と伝えるだけで、カレンダーから会議が始まる時間、それに間に合うための電車を使った場合のプラン、飛行機を使った場合のプランを提案してくれ予約までしてくれる。
当日飛行機に乗り遅れたら、別のプランを調べて予約してくれる。
出張から帰れば、その経費を精算してくれる。
なんて、複数のサービスを組み合わせた利用方法が本来の形だと思うのですが、個々のスキル連携が行えないため、スケジュール確認や交通手段の予約などを個別に行う必要があるのです。

今後、AIアシスタント(人工知能)が利用シーンを広げていく中で、さらなる利便性を得ようとしたときに相互接続性は必要不可欠なものであり、この問題をいかに解決していくのかが今後の課題であると私は考えています。この相互接続性が実現されるようになると、AIアシスタント(人工知能)は今とは比較にならないぐらいの利便性を実現し、至る所にAIアシスタント搭載の機器が配置される世の中になると期待しています。

あなたもAIアシスタントを使ったビジネスを検討してみませんか?

AIアシスタントは、2017年後半から登場し、今や認知度は7割を超え、皆が知っている機器になってきています。現時点においてわずらわしい操作なしに、ちょっと聞いてみたら答えが返ってくる、ちょっと言えばアクションしてもらえるというのは大きなメリットであり、個人利用だけでなくビジネスにおけるコミュニケーションを補完する一部として、様々な業界で利用可能だと思っています。
しかしながらAIアシスタントが本領発揮するためには、AIアシスタント同士の相互接続性、サービス同士の相互接続性が重要だと私は考えています。直近のニュースでは、Amazon Alexa(アレクサ)とCortanaが会話をするなんてニュースもありましたが、これが本当に使いやすい形で実現されるのはまだ先の話なのではと私は思っています。
今後もAIアシスタントは、ますます進化しつつ、自動車、家電、業務端末や受付カウンター・案内板、モバイル端末など利用シーンはますます広がっていくと私は考えています。御社でもAIアシスタントを利用したビジネスを検討してみてはいかがでしょうか。

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