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組み込みシステムにマイコンが不可欠な理由

これまで、組み込み開発や組み込みソフトウェアなど、組み込みシステムに関するコラムをお届けしてきました。そんな組み込みシステムや組み込み機器に、今や当たり前のように搭載されているものがあります。それが「マイコン」です。今回は「組み込み」とは切っても切れない関係にある「マイコン」について、その理由を探ってみましょう。

「マイコン」の定義とは?

タイトルにもなっている「マイコン」という言葉。組み込みシステム開発の技術者を目指している方や、すでに組込みシステム業界に身を置いている方は耳にしたことがあるでしょう。ここでは入門者向けに、マイコンについて基礎からお話ししたいと思います。
マイコンとは、「マイ〇〇コン〇〇」を略した言葉です。マイコンの元になる言葉は諸説ありますが、もっとも多くの方が知っている言葉はマイコンピュータやマイクロコンピュータ、あるいはマイクロコントローラなどでしょうか。私の印象だと、組み込みシステム開発の業界では、マイコン=マイクロコンピュータととらえている人が多いようなので、ここでも同じく「マイコン=マイクロコンピュータ」とします。マイクロコンピュータとは、その名の通り小さくなったコンピュータそのものと思ってください。マイコンは見た目の小ささに似合わず複雑な仕組みを有しており、組み込みシステムの中で中核的な役割を持っています。次項では、組み込みシステムに欠かせないマイコンが、組み込み機器の中でどのような働きを担っているかについて詳しく解説します。

マイコンは、組み込み機器に欲しい機能をプログラムによって実現する

組み込みシステムと汎用系システムに違いがあるように、マイコンにもパソコン用マイコン(プロセッサ)と組み込み用マイコンとがあり、両者には明確な違いが存在します。マイコンは、普段は目にすることのない装置の中に組み込まれているためわかりにくいかもしれませんが、組み込みマイコンはパソコン用マイコンに比べて使用されているチップの比率が数十〜数百倍にものぼります。その数は年々増えており、そのことからも時代は組み込みマイコンの需要を高めていることがわかります。

もともと昔の組み込み機器は、ハードウェアを組み合せただけのものでした。例えば照明は、スイッチをONにすると電気が流れ、電気が通うと電球が光るというものです。逆にスイッチをOFFにすると電気が流れなくなり、電球の光が消えます。これを実現するためには、電気が流れたときに光る電球、電気を供給する電源、電気の流れを遮断したり、つないだりするスイッチがあればいいわけです。ここに、「常夜灯だけをつけて他の電球は消す」機能であったり、「明るさを3段階に調整できる」機能であったり、「蛍光灯の色を好みの色に変更できる」といったような機能を付け加えたい場合、それを実現しようとすると必要なハードウェアはどんどん増えてしまいます。その結果、多くの部品を要するので、必然的にコストが高く、サイズの大きい照明が出来上がります。これでは時代の流れに逆行する形となってしまい、ユーザーのニーズにマッチしない製品となってしまいます。

そこで登場したのがマイコンです。マイコン=マイクロコンピュータであり、小さいパソコンと思ってもらえるとわかり易いでしょう。パソコンのマザーボードを見たことがある方は知っていると思いますが、基板上についている黒い正方形のものがマイコンです。
家庭用のパソコンでは、例えばExcelを使って家計簿をつけたり、インターネットから入手したゲームを動かしたり、フォトビューアーを使ってデジカメの写真を閲覧したりと、動かすプログラム(アプリケーション)を変える事で色々なことができますよね。マイコンも同様にプログラム(組み込み機器に搭載するプログラムをファームウェアと言ったりもします)を動かす事ができます。製品に必要な機能を実現するプログラムを作り、そのプログラムをマイコンで動かせるようにしたことで、1つのハードウェアで複数の機能を実現できるようになったのです。このマイコンが登場したことで、機能が増えるにつれて増えてしまうハードウェアと、ハードウェアが増える事で結果的にサイズの大きな、価格の高い組み込み機器になってしまうという問題が解決されたのです。

組み込みシステムにおけるマイコンの役割

マイコンは、CPU・メモリ・周辺機器から構成されています。マイコンは、組み込みシステムの中でどのような働きを担っているのでしょうか。マイコンの役割を簡潔に表すと、「ハードウェアの制御」ということになります。そしてマイコンがハードウェア制御することを「マイコン制御」と言ったりもします。マイコンは、与えられたプログラムに基づき周辺回路をマイコン制御していますが、この「プログラム」を書き換えることにより、同一のハードウェアに様々な動作を要求することが可能になるのです。また、マイコンにはPIC・H8・ARM・AVRなど種類やシリーズがあり、処理速度や用途、予算によって適したものを選ぶことになります。
ちなみに、マイコン製造メーカーのうち、シェアが高い有名メーカーではルネサスなどがあります。組み込みソフトウェア開発などに携わったことのある技術者なら耳にしたことがあるでしょう。

マイコンと関連する用語に1チップマイコンというものがあります。単に「マイコン」と言う場合、単一のLSI(電子部品)を指しますが、1チップマイコンとは、簡単に言えば「組み込み機器の制御に必要な複数の電子部品を用途に応じて1つのチップに詰め込んだもの」です。1チップマイコンはある特定用途向けの機能における処理ならばその名の通り1チップで行うことができるため、部品数が少なく済み、結果として低価格化、小型化が実現可能となります。そのため、例えば自動車や炊飯器ほか多くの組み込み機器の制御システムや、マウスやキーボードのような入力情報の制御が必要な機器にも組み込まれています。1チップマイコンにはCPU、ROM、RAMのほか、I/Oポートコントローラなどを内蔵していたり、CPUから独立して動くタイマーユニットを搭載するものもあります。1チップマイコンでは用途に応じた電子部品が詰め込まれているため、多種多様な種類があることが多いです。そのほか、比較的安価である、といったものが特徴として挙げられます。マイコンとひと口に言っても、開発しようとする組み込み機器に搭載したい機能により、最適なマイコンは異なってくるでしょう。

組み込みシステムの高度化で高まるマイコンの必要性

ところで、組み込みシステム(エンベデッドシステム)や身の回りの組み込み機器にも、需要に伴うトレンドや高度化が付きものです。組み込み機器とは、ある用途に専門特化した機器の総称であり、家庭用パソコン、コンピュータなどの汎用機器以外の機器は全て組み込み機器であるといえます。これだけ組み込みが普及してきた現代、組み込みに特化した開発環境でソフト開発が行える組込み技術者の需要は高まっています。

組み込み機器は、機能が専門特化しているがゆえに見た目がコンパクトであったり軽量であったり、機能がシンプルだったりするため価格も安価です。例えば温度計は、温度を計測することだけに特化したものであり、見た目も非常にシンプルかつ安価な組み込み機器の一例です。

そんな組み込み機器にもトレンドがあります。昔は温度計測だけでよかった温度計も、時代の流れとともに、測定時間が経過するとピピピッとお知らせする機能であったり、短い測定時間で温度を計測(予測)する機能であったりが搭載されるようになりました。IoT(Internet of Things)と言われるように、機器同士がコミュニケーションを取れる通信機能を持ち、各々を連携させる世の中になってくると、温度計で測定した温度を、体重計や血圧計の情報と合わせてインターネット上に記録し、家庭のテレビ、スマートフォンなどで閲覧できるような体調管理サービスも実現可能です。このように組み込み業界では、組み込み機器の持つ軽量性とシンプル性はそのままに、機能の高度化が求められている背景があります。

プログラムを書き換えるだけで適用範囲が広がり、低機能から高機能まで幅広い組み込み機器に使用することができるマイコン。時代の変遷によって高度化する組み込みシステムの機能を叶えるためには、そういった特性を持つマイコンが不可欠なのです。

組み込み機器の進化とともにあるマイコン

マイコンが登場したのは1970~1980年ぐらいですから、そこから今現在までの約40年の間に、様々な機器に、ほぼ間違いなく多くの機能が追加されています。特にインターネットの登場により今までシンプルだった組み込み機器にもネットワーク機能を搭載し、他の人や他の機器とのコミュニケーションが図れるような時代になっています。もはや現在、マイコンが搭載されていない組み込み機器はほとんどないと言ってもいいでしょう。マイコンと一口に言っても、高性能なスマートフォンに入るようなものから、性能の低い機器に入るようなものまであります。安ければ500円以下で購入できるマイコンもあったりします。普段、機器に組み込まれているマイコンを目にすることはありませんが、もし壊れた家電があれば、破棄する前に一度中身を眺めてみてはいかがでしょうか。そこには基板があり、基板の上にはいくつかのハードウェアと一緒に黒い四角いマイコンが見えると思います。
マイコンボードやマイコンチップ、1チップマイコン、マイコンシステム設計などについての詳細は、今回の入門コラムとは別の機会に解説したいと思います。

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