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RISC-Vを使った2つの開発方法

先のコラムにてRISC-Vとは何かというところに関して解説を致しました。本コラムでは実際にRISC-Vを使ってSoC設計・開発を行う際の2つの方法に関してわかりやすく解説致します。

RISC-Vを使ってSoC設計・開発を行う際の2つの方法

先のコラムにてお話させていただきました通り、RISC-Vは誰もが無料で契約なしに利用できるCPU仕様(ISA)となります。RISC-Vの中心的な団体であるRISC-V財団をサポートする組織としては、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、Andes Technology、BAEシステムズ、Berkeley Architecture Research、Bluespec, Inc.、Cortus、Google、GreenWaves Technologies、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、華為技術、IBM、Imperas Software、中国科学院、IIT Madras、ラティスセミコンダクター、Mellanox Technologies、Microsemi、マイクロン・テクノロジ、NVIDIA、NXPセミコンダクターズ、オラクル、クアルコム、Cryptography Research、ウェスタン・デジタル、SiFiveなどSoC製造の最先端にいる企業が名を連ねています。このようにRISC-Vは、豊富な経験を持っている人達で開発が行われており、私は今後ますます利用が拡大していくであろうと予想しております。

実際にRISC-VのCPUコアを搭載したSoCを設計・開発しようとした場合、現状大きく分けて2つの選択肢があります。Linuxカーネルと同様に考えていただけるとわかりやすいのですが、1つはオープンソースで公開されており有志により日々アップデートされているCPUコアを利用する、2つめの方法としては、RedHat、Vineなどのようにベンダーが利用者にとって使いやすいようにパッケージングし保守・メンテナンスを行うCPUコアを利用するパターンがあります。オープンソースを利用するのであれば、保証は誰がするのか?という問題が付きまといますし、ベンダーが提供するディストリビューションパッケージは保証をベンダーが行ってくれる代わりに有償であることが多いです。どちらの方法も一長一短があり、搭載しようとしている製品、企業のこれまでの経験値や規模などの要素によってどちらが選ぶべきかが決まってくるかと思います。

以降では、オープンソースで公開されているRISC-Vコアを使う際に便利なツール、及び私のお勧めベンダー様が提供するRISC-Vコアをご紹介致します。

1.オープンソースのRISC-Vコアを使う際の便利な開発ツール

オープンなRISC-Vコアを使うための開発ツールとして、Bluespec社のRISC-V Factoryをご紹介します。Bluespec社は、2015年のRISC-V Foundation創設メンバーであり、RISC-VプロセッサのIPコアや、RISC-Vプロセッサを含むシステムを開発するためのツールとしてRISC-V Factoryを提供しています。RISC-V Factoryは、FPGAベースのRISC-VプロセッサおよびRISC-V SoCの設計をする際に開発者が使う開発プラットフォームです。オープンソースのRISC-VプロセッサIPコアと周辺回路のリファレンスデザイン・シミュレーション用モデルが付属しており、RISC-V上でソフトウェアを実行するまでを最短で行うことが出来ます。RISC-Vプロセッサ IPコアとリファレンスデザインは検証済のため、デバッグは新規開発をしたデザイン部分にフォーカスすることができます。また、RISC-V Factoryはハードウェアおよびソフトウェアの検証機能が充実しており、開発したデザインをエミュレータとシミュレータの両方で検証でき、バグ追跡の時間を大幅に短縮することができます。

Bluespec社は、近年製品の高機能化の影響によりシステムが多様化するニーズにこたえるためのASIC/FPGA開発ツールとして、Bluespec System Verilog(BSV)を提供するベンダーで、大規模・複雑化するLSI開発の救世主と言われたりもしている企業であり、安心してご利用いただけるかと思います。オープンソースのRISC-Vを使った開発を検討している方は、LSI開発の救世主が提供する開発プラットフォームであるRISC-V Factoryの詳細を確認してみてはいかがでしょうか。

2.私のお勧めベンダー様が提供するRISC-Vコア

ベンダーが提供のRISC-Vコアとして、Andes Technologyが提供するCPUコアをご紹介致します。Andes社は、8bit/16bitCPUをメインで利用される民生用アプリケーション、汎用MCU・自動車制御・ストレージなどの組み込みコントローラ市場、高い性能を要求されるホームエンターテイメント、デジタルセットトップボックス・ネットワーク・モバイルインターネットデバイスなどの様々な市場向けにCPUコアを提供しているベンダーとなります。

Andes社の持つRISC-V関連CPUコアは、32bit、64bitの命令セットをサポートする2つの製品ラインナップを提供しています。RV32IMAC命令セットをサポートする32ビットCPUコアN25F/D25F/A25と、及びRV64IMAC命令セットをサポートする64ビットCPUコアのNX25F/AX25があります。これらコアはすべて、単精度(F)および倍精度(D)の浮動小数点命令セットをサポートしています。Andes社のCPUコアはRISC-Vを拡張し使いやすくなっているだけではなく、SoC設計を容易にするためにバスコントローラおよび周辺コンポーネントを統合したパッケージとして利用できます。

AndesCoreコアファミリは、利用用途に応じて柔軟なカスタマイズが可能で、システムの電力/コストを削減したり、パフォーマンスを改善することが可能となっております。AndesCoreはソフトコアの形で提供され、様々な市場において利用可能となっておりますので、ベンダーが提供するRISC-Vの採用を検討している方は一度詳細を確認してみてはいかがでしょうか。

RISC-V他にもRISC-V CPUコアは多種多様な種類があります

本コラムでは、RISC-V関連の製品として、Bluespec社のRISC-V Factory、Andes社のAndesCoreをご紹介致しました。RISC-Vは誰でも無料で利用できるという特性上、他にも数多くのCPUコアがリリースされています。RISC-V財団のホームページでRISC-V CPUコアを閲覧することも可能ですので、探してみるのも良いかと思います。

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