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次世代データアクセス技術「Gen-Z」(メモリセマンティック)の世界

Gen-Zは新しいデータアクセス技術です。現在のコンピュータアーキテクチャで直面している課題の解決を可能とし、高性能で低遅延の革新的ソリューションをオープン/シンプル、かつ、効率的/高い費用対効果で提供します。

背景

データアクセスの発達の歴史は長く、その間、多数のデータインターフェースに加え、多数のソフトウェアが積み重なり、それは現在ではCPUの処理能力とメモリの帯域幅に大きな負荷を与えています。ソフトウェアに含まれる革新的なコードデザインは、処理遅延の問題を含むものであっても、これまでのCPUの飛躍的な能力向上のおかげで問題が表面化することはありませんでした。CPUパフォーマンスへの要求に対応すべく、技術者たちはこれまでのシステムアーキテクチャを改良/拡張/アップデートする試みを続けてきましたが、大きな改善は実現できないのではないかとの認識に至りました。そして、新しいインフラストラクチャの方向性とその要求項目を再検討する必要があることに気が付きはじめました。

データアクセスの上手い方法

現在のコンピュータシステムは、次のパラダイムのもと築かれてきました。
「メモリは早く、ネットワークとストレージは遅い。」
メモリ、ネットワーク、そして、ストレージのそれぞれの内部で使われる通信手段は、これまで互換性を持ったことがなく、異なるデバイスの間で通信を行うには、ソフトウェアの介在が必要でした。コンピュータシステム内部の通信は、バス/ファブリック/ネットワークを通過するために、長い時間を要していました。

30年以上にわたり、この業界ではメモリセマンティック通信の優位性が唱えられてきました。メモリセマンティック通信は、最小限のオーバヘッドとレイテンシで異なるコンポーネント間でデータを移動させることができます。

コンピュータ業界は、今、これまでにない時を迎えています。これまでのシステムのボトルネックをなくし、効率と性能を劇的に改善するために、メモリセマンティック、すなわち、どこでもload/storeで通信を行うようにしてすべての通信パスを統一し通信ソフトウェアを単純化できる機会を得ようとしています。

なぜ、メモリセマンティックファブリックなのか

メモリバスはひとつの目的を持っています。それは、できる限り高速に、かつ、効果的にプロセッサにデータを供給することです。そのため、メモリバスは、高帯域幅で低遅延に設計されており、極めて単純な通信用言語が用いられています。そのため、アプリケーションがメモリ上で動作する場合、それは最高速で動作するようになっています。

CPUがメモリと通信する際の言語は、ロード/ストアと呼ばれるものです。このロード/ストアアーキテクチャは、ロードと呼ばれるメモリからCPUへのデータ転送とストアと呼ばれるCPUからメモリへのデータ転送が中心となります。このアクセスモデルは、最速で最も効果的なアクセス方法であると証明されています。そして、このアクセルモデルは、CPUに対し、大容量のメモリへのバイト単位のアクセスも可能にしています。新しい不揮発性メモリ技術が普及する中で、このバイト単位のアクセサビリティはシステムパフォーマンスのキーになると予想されます。

メモリセマンティックを用いてバイト単位のアクセサビリティをシステム全体にも拡張していくには、アーキテクチャの変更が必要となります。それは、一方で記憶メディアのメディアの種類の多様性を残しつつ、パフォーマンスと処理量の要求に合致する必要があります。新しいアーキテクチャは、今後の技術トレンドを取り入れながら、現在の課題を効率的、かつ、経済的に克服しなければなりません。

すべてのデバイスが同じ言語で相互に通信し、現在のバスアーキテクチャでは必要なトランスレーションにかかわるマイナスが全くない、単純で高性能で低遅延の通信パスを持ったシステムを想像してみてください。

Gen-Zとは何なのか?

Gen-Zは、高性能、低遅延、メモリセマンティックなファブリックで、システム内のすべてのデバイスの通信に使うことが可能です。すべての通信パスを統一し、通信ソフトウェアを単純化することで、Gen-Zは多数の高性能ソリューションが協働できる生態系を作り出します。

新しいメディアのトレンドが生まれるのに合わせて、Gen-Zは異なるメディアを無理なくシステムに取り込むことができ、そのおかげで、各デバイスやリソースは独立して拡張していくことができます。リモートサイトでの小さな導入から多様な数の計算器、メモリ、あるいは、ストレージのラックまで。

なぜ、Gen-Zなのか?

現在のコンピュータアーキテクチャは、様々な方向から進化を求められています。それは、処理量の相違、新技術への対応、バス転送速度高速化の要求、そして、新たな拡張の提案がその理由です。システム内のすべての通信のパスとデバイスは、今後求められるデータの転送/蓄積/処理の大きさに圧倒されているように見えます。現在のハードウェアは、新しい低遅延のストレージクラスメモリ (SCM)の能力に合うだけのものには拡張できず、また、高速化しているネットワーク通信を利点として活かせるようにはなっていません。古くからのソフトウェアが絡み合った現在のシステムのボトルネックが、データのアクセス/管理/蓄積に関して新しい方法への探求を推進しています。

Gen-Zは、高速なメモリセマンティックなファブリックですが、それは単にすべてのインタフェースを単純化するだけでなく、すべてのデバイスが互いに繋がって同一のメモリセマンティックな言語により通信が行える高性能で低遅延なソリューションを構築するブロックも提供します。それぞれの必要性に応じて設計された計算器、メモリ、そして、ストレージの各リソースが持つ多様性に対して個別に拡張を行う必要がなくなり、互換性やビジネスの速度も保証されるようになります。

データに着目してアーキテクチャを決定することの重要性を理解するなら、現在とは比較にならないほどの大きな規模で、より早い決定を下すことができるでしょう。

Gen-Zの信念

● Open – 公開であること

● High Performance – 高性能であること

● Flexibility – 柔軟であること

● Compatibility – 互換であること

● Secure – 安全であること

● Economic – 経済的であること

まとめ

Gen-Zは、これまでにない機会をコンピュータ業界にもたらそうとしています。それは、業界を再誕させる機会となるでしょう。Gen-Zのオープンで協力的なデザイン環境は現在も業界内から参加者を増やしつつあります。

成長を続けるGen-Zの世界に参加する企業が増えるにつれ、革新のスピードは自然と加速していくことでしょう。処理量の多様性とユーザの様々な要求に応じるために新しいデザインと製品が出てきます。Gen-Zの柔軟なメモリセマンティックなファブリックは、各企業に、柔軟で、集積のされていない、低遅延で、かつ、高性能なソリューションを作るパーツになるはずです。

本文は、下記資料をもとに意訳したものです。
Gen-Z Overview
https://genzconsortium.org/wp-content/uploads/2016/11/Gen-Z-Overview-V1.pdf

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