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ラスベガス開催『DAC 2019』レポート!北米最大規模イベントで見る業界トレンドは?

北米最大規模の半導体業界のイベント、Design Automation Conference、通称「DAC」に参加するため、日本から1万キロ、遥々ラスベガスに行ってまいりました。

ラスベガス開催の背景は?

カジノで有名なラスベガスですが、実はCESをはじめとする、様々なイベントの開催地としても人気が高いです。もともとサンフランシスコとオースティンで開催されていたDACですが、一風変わって今年はなぜラスベガスで開催したのでしょうか。その一因は来場者数の減少にあると思います。DACは本来EDAツールが中心のイベントですが、ツール業界では近年Cadence社やSynopsys社、Mentor社に集約され、いまいち盛り上がりに欠けており、DACの来場者数はそれに影響された形で減少しているように、ここ何年も参加している私自身は感じています。近年ではチップ設計においてIPの重要度が増し、また半導体業界の分業により、ファンダリ、デザインハウスの勢力が大きくなってきました。DACはその傾向をキャッチし、来場者の減少に歯止めをかけるため、IPの展示やファンダリの発表などを増やすことで、半導体業界全体を網羅したイベントとなっています。今年は色々な意味で人気の高いラスベガスという土地での開催はDACをより魅力的なイベントとし、来場を促すためなのではないかと考えます。

DAC2019での技術トレンドはやはりあの3つ

では本題です。今年のDACではどのような技術トレンドが見えたでしょうか。現場で感じたメインキーワードとしては「RISC-V」、「セキュリティ」、「クラウド」の3つが挙げられます。まずは、何と言っても最近大きな注目を集めているRISC-Vです。展示会場ではRISC-V Foundationに加入する複数社が出展しており、弊社ビジネスパートナーであるAndes Technology社もその一つです。Andes社のRISC-VベースCPU IPコアは2019年1月~3月の間だけで、ライセンシーが10社以上増えたという快進撃が今でも続いています。出展企業はCPU IPコアの他に、システムモデリングから設計ツールまで多岐に渡り、RISC-Vに纏わるエコシステムの著しい成長が見て取れます。

次に、近年IoTの時代に入り、ますます注目されているセキュリティです。チップレベルでいかに安全な回路設計を行うかは一つの課題になっています。今年DACで、セキュリティはカンファレンスのテーマの一つでもあり、展示会場でも複数のブースにてセキュリティ関連のEDA製品紹介がありました。

最後のキーワード、クラウドです。クラウド関連のソリューションを提供する複数のベンダーが高速なデータ転送やアクセス、また使用時間課金システムという新しいビジネスモデルの製品紹介を行っており、下の写真にあるDesign-On-Cloud Theaterの周辺はそのようなベンダーが集まっておりました。大規模設計のグローバル化、またネットワークやストレージの新しい技術を背景に、さらなる分業が進み、EDAツールのコア部分とデータアクセスと転送などがそれぞれ異なる専門ベンダーの製品が採用さる未来になるかもしれません。

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個別ブース、注目ソリューションは検証IPとMIPIソリューション

さて、お次は個々の出展企業です。まずは弊社のビジネスパートナーでもある、DACの常連Avery Design System社のブースです。Avery社はDAC出展の際には、入口に面したベストポジションがいつもの定位置となっているように思います。VIPのベンダーとして、Avery社の今年の目玉はなんと言ってもPCIe Gen5の検証IPではないでしょうか。また企画策定団体に入り、深くかかわってきたGen-Zも高い注目を集めたようです。

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お次はアナログ・ミクストシグナルIPのベンダーであるMixel社です。ブースでは同社IPであるMIPI C-PHY/D-PHY IPを実装したチップ製品をベースとしたデモの他、自社C/D-PHY Combo IPのテストチップを使ったデモを展示しておりました。

11Mixel社ブース

3MIPI C-PHY/D-PHY IPを実装したチップ製品をベースのデモ

4C/D-PHY Combo IPのテストチップデモ

DAC 2020はいかに

今年のDACは展示会場の規模こそ縮小した印象を受けたが、さすがに北米最大の半導体業界イベントだけあって、新しい技術トレンドが見て取れるような出展企業が多数ありました。来年DACはまたサンフランシスコに戻り、向こう三年連続シリコンバレーの目と鼻の先での開催が決まっています。RISC-Vに纏わるエコシステムはさらに発展し、またセキュリティやクラウド分野での技術進歩も期待しつつ、気が早いですが私自身DAC 2020を楽しみにしています。

今回ご紹介したベンダー
・検証IP・ツールを提供 Aver Design Systems
・MIPIソリューションを提供 Mixe, Inc.

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