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産業用PCのブルーオーシャン市場

前回は産業用PC(IPC)のコンフィグレーションから昔と現在を比較しましたが、今回は産業用PC(IPC)の過去と現在についてお話します。

20年前は産業用PC製品が限られており、需要が高い時代でした。IPCメーカーの対応もお客様にとっては融通の利かない対応がほとんどでした。
お客様はシステムを購入される際、性能と価格について検討され、IPCメーカーに問合せをされますが、当時だと、下記のような対応がかえってきました。

お客様 年間100台のシステムほしいがPentiumにするかCeleronにするか悩んでいます。
IPC営業 そうですね、PentiumのほうがPerformance高いが値段も高い、Celeronは安いが性能も低いです。もしよろしければPentiumとCeleronもベンチマークを提供します。
お客様 ベンチマークありがとうございます。見積もりをPentiumとCeleron 2種類もらって比較したいです。
IPC営業 すみません。会社のルールとしては正確な構成を決めてから見積もり出します。両方を同時に出すことができません。

今では信じられないと思いますが(価格構成が知られてしまう理由で今でもこのような対応をされる企業もいます。)、昔の産業用PCはメーカーが限られおり。それぞれのメーカーのヒューマンリソースも限られていました。当時のマーケットは大きく、対応に限界があった為、お客様を選び対応しても、ビジネスが上手く状況でした。(当時の台湾のIPCメーカーはAdventech、Portwell、Nextcom、AD-Link、IEI、Aaeon, Axiomtek がワールドワイドの90%のシェアを占めていました。今はGoogle検索すれば軽くIPCメーカー100社を超えます。)

今ではIPCはもう昔のように楽に儲かる商売ではなくなりました。
当時は、数百ドルする4Uサーバ・シャーシ一台でも簡単に売れた時代でした。
今は小型Box PCシステム一台(CPU、メモリー、ストレージ、OSライセンス、OSインストール、アダプター込み)で昔の4Uサーバ・シャーシ一つと同じ価格で販売されています。

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IndustrialPC

産業用PCは普通のPCに比べて長期供給が可能です。また、品質も安定しています。
(一度採用した産業用PCのパーツ(部品、材料)は長期変更しない為、品質安定しています)
色々なSPEC Inサポートが対応できます。
(開発時のサポート:BSPの提供、BIOSのカスタム、キャリアボードの回路図レビューなど)
しかし、産業用PCを提供する側として、競合企業との差別化をはかっていくことが難しくなってきました。

そんな中でも価格競争を避けて新しい領域を作りだすメーカーもいます。
競合企業が提供できないサービスを提供できれば、IPCのブルーオーシャンに辿り着くこともあります。
それは付加価値を付けるようなサービスを提供することになります。
例えば

アプリケーション込みのシステム提供
組込みボードのドライバーの提供(チップメーカが提供しない特定デバイスドライバーをボードメーカが提供する)

産業用PCに付加価値を付ければブルーオーシャン市場を狙うことができます。では、ブルーオーシャンマーケットがどこにあるのか。
それはやはり、AI、Deep Learning,機械学習です。

IPCメーカーのWebサイトの商品紹介をみると、IoT、AI、機械学習などのキーワードが掲載されています。しかし、AI、Deep learningなどの応用製品に産業用PCとの関連性があるかというと、ほとんどありません。
なぜならほとんどのIPCメーカーの製品キーワードはCPUです。SOMにせよ、SBCにせよ、Box PCにせよ、どれを見てもCPU機能の延長にすぎません。しかし、Deep learningなどのAIアプリは並列演算に強いFPGAやGPUを必要とするため、IPCメーカーの商品はほとんど対応できません。

図1

IPCメーカーがブルーオーシャン領域に入るには、上記のような構成を創ることができれば、価格競争から抜けだすことができます。
CPUがUSB、PCIe、 SATA、 RS232などのIOポートと通信 (ほとんど開発の必要がない)をおこない、FPGAがCPUの苦手な並列演算、Deep learning などを担います。(案件ごとに開発が必要、IPの購入が必要)

上記ビジネスがブルーオーシャンである最大の理由は、上記のような開発委託の案件に対して人材不足を理由に委託開発を断らずおえない企業が多いということです。まさに昔のIPCビジネス盛況時と同じです。しかし、ブルーオーシャン領域には昔のように簡単に辿り着くことができません。

今のブルーオーシャン市場は“AI”“Deep Learning”キーワードですが、実は同じようなことを昔からおこなっています。但し、“AI”“Deep Learning”というキーワードではなく、 “画像処理”というキーワードでした。次は、“画像処理”に関するアプリをいくつか紹介させていただきます。

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