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製造業におけるトレーサビリティ管理システム【映像ソリューション事例①】

工業製品の品質不正問題や食品偽装問題をニュースでしばしば目にします。購入者や消費者では不正や偽装を判断できないという前提で、企業内で閉じた不正が内部告発によって発覚するパターン(事例)が多いようです。そして、最終的に各企業や業界がダメージを負い、大企業であっても倒産に至るという極めてリスクが高い問題でもあります。
こういった問題に対して、業界をあげて様々な対策に取り組んでいます。その切り札が、トレーサビリティ管理システム(traceability system)です。原材料・部品の調達から加工、流通、販売まで履歴を追跡(または遡及)できる状態を指す概念です。

トレーサビリティ(traceability)とは

製造業におけるトレーサビリティとは、どこから入荷した原材料を使って、どうやって製造して、どこに出荷したかを全て記録し、問題があったときにあとから追跡(または遡及)できるようにする管理システムです。トレーサビリティ管理システム(traceability system)やチェーントレーサビリティとも呼ばれることもあります。
自動車業界では、40年代初頭に欠陥車問題が大きくクローズアップされ、国土交通省は当時の自動車型式指定規則を一部改正し、日本ではじめてのリコール制度を自動車に適応しました。さらに、2007年改正の消費者用製品安全法の施行により、家電製品や住宅設備など多く製品にリコールが義務づけられました。
また、食品産業においては、2000年代初頭に起きたBSE(狂牛病)問題を受け、農林水産省は2003年に「牛トレーサビリティ法」を導入。さらに個体識別されている牛肉以外でも食の安全を確保するため、米トレーサビリティ法をはじめとした「食品トレーサビリティ法」を本格的にスタートしました。
こういった各業界での動きをきっかけに、製造物のトレーサビリティ管理システム導入の動きが急速に広がっています。その問題の主役だった自動車や食料品だけでなく、偽装チップ問題が根深い半導体業異界や、不正医薬品が横行する医薬品業界がこれに続いています。この動きは全ての製造物に広がる流れです。しかも、サプライチェーン全体でトレーサビリティ(traceability)に対応しないと効果が薄れるため、自分の工場だけ対応しないわけにはいきません。業界全体での品質対策の取り組みとなります。
国際的な自動車産業連合団体であるIATFが発行する自動車産業向け品質マネジメントシステム規格(IATF16949:2016)では、詳細な構成部品の追跡管理を実現するトレーサビリティ(traceability)を求めています。
また、政府としても、工場のデータ活用(Connected Industries)の一つとして各種政策課題や白書に登場するとともに、減税や補助金で積極的に後押ししています。

製造業の品質保証体制の強化に向けて(平成29年12月22日)
製造業を巡る現状と政策課題~Connected Industriesの深化~(平成30年3月19日)
2019年版ものづくり白書
・コネクテッド・インダストリーズ税制(令和2年3月31日で廃止)
ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業」の公募(令和2年4月28日~6月30日)

トレーサビリティの考え方、意味

原材料・部品の調達から加工、流通、販売まで履歴を追跡(または遡及)できる状態を指す「チェーントレーサビリティ」は、いわゆる世の中の一般的なトレーサビリティの概念です。
製造した事業者は「どこに行ったのかわかる(=追跡できる:トレースフォワード)」ことができ、下流工程の事業者や消費者は自分の手もとにある製品が「どこから来たのかわかる(=遡及できる:トレースバック)」ことを可能にするものです。製造業者にとっては、製品に予期せぬ問題が生じたとき、迅速な原因究明や回収作業が容易になり、消費者にとっては信頼性の高い製品を選択する指標となります。
トレーサビリティ(traceability)の考え方のもう一つは、製造工程や品質管理などのトレーサビリティです。製造現場で製品やロットごとにシリアル(識別)番号を付与し、それぞれの加工工程などで作業内容や検査結果、寸法情報などを紐づけ、後工程の組み立て作業に活用することで、生産の効率化、品質の向上に貢献しています。トレーサビリティ(traceability)の表現様式としては、文字・数字、バーコード、二次元コード、電子情報、電子タグ、画像記録などが用いられます。検査の結果を一定期間残しておく必要がありますが、最近は外観検査も普及しており、映像による全数検査を志向する流れに繋がっています。

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トレーサビリティ管理システムの活用分野

各製造分野(現場)でどのようにトレーサビリティ管理システム(traceability system)が活用されているかを見てみましょう。
・食用品:製造日時やロット数、仕入先の管理に加えて、最近は「入荷期限、出荷期限、賞味期限」の3つの期限管理機能がシステム化され、出荷・賞味期限が迫った在庫商品は入・出荷できないよう制御されている。
・自動車:車両1台ごとに使用部品の製造番号を特定でき、製造・組立工程における部品の製造番号、作業状況、検査結果を記録し、追跡調査を可能にする作業履歴の保存が義務づけられている。また、生産ラインの設備監視からマシン・工具の使用状況や磨耗による稼動負荷の変動検知と適応制御、検査工程の自動検査装置など、工程ごとの不具合の内容とタイミングを追跡する。
・半導体:偽装チップ対抗手段として、半導体の認証・品質トレーサビリティの標準化が進んでいる。半導体チップのIDを、パッケージではなく製品そのものに付与し刻印する「ダイレクトマーキング」が導入されている。
・医薬品:不正医薬品対策のためにプロセス情報の透明化、スマート化が推進されている。製品識別や使用・調剤の照合確認、受発注、在庫棚卸、使用実績を含めた医療安全管理の徹底に、二次元バーコードやICタグを利用している。

トレーサビリティ管理によって増大する画像・映像データ

以上のように、トレーサビリティ(traceability)は膨大なデータの蓄積に支えられています。特に近年は画像・映像による検査・記録が増大し、トレーサビリティ管理システムに組み込むとなると、膨大な量の画像・映像データの蓄積が必要になります。
ITやIoT、ディープラーニング(deep learning)などのAIの普及によって、これまでにない分野でも外観検査が導入され、高画質な検査画像が求められています。また同じ検査画像でも新しいAIによって異なる検査結果が得られる場合もあり、撮影済みの画像は捨てられません。検査画像データは貯まる一方となります。
また、検査画像だけでなく、組立工程などの人の動きもトレースするなら動画データの保存が必要になります。監視カメラと同様、人の動きがわかる画質のデータを、継続して蓄積する必要があり、こちらも膨大なデータとなります。
これらのデータは、トレースする可能性がある期間はずっと保存しておく必要があり、短くても数ヶ月、長いときは10年以上におよびます。クラウドに保存するにしろ、オンプレで保存するにしろ、ストレージのコストは増加の一途です。

画像・映像データを削減するソリューション

ストレージをどんどん増やすのが最も標準的な方法ですが、増やすペースは下がることはありません。またストレージが増えるほどデータの破損リスクが増加します。それよりは、保存されるデータ量そのものを減らすほうがシンプルで根本的な解決ではないでしょうか。
富士ソフトの映像ソリューションでは、画像や映像をあまり劣化させることなく、高い圧縮率で保存することが可能になります。つまり、同じ量の画像・映像データを蓄積するために必要なコストが大幅に下がります。また、コストを同じとした場合は、同じ量の画像・映像データを蓄積する期間が増えます。
将来、保存データをAIで活用する可能性があるとしても、このソリューションでコンパクトにした画像データは、AIの学習や推論にほとんど影響を与えないことも確認されていますので、データサイズ削減したままAIに活用可能です。
これらの効果により、工場のトレーサビリティ管理システムの対応範囲や蓄積期間は大幅に向上し、品質向上や対象製品の増加によるビジネス拡大も期待できます。

富士ソフトは製造業のシステムや工作機械のインテグレーションを古くから得意とする会社で、大小様々な製造業での実績があります。これからの時流であるトレーサビリティ(traceability)についても取り組んでおり、その中でもこの映像ソリューションはお客様にけるトレーサビリティ(traceability)の導入に大きな役割を果たせるものです。どのぐらい小さいデータになるのかのトライアルも含め、広くご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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