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技術コラム_組み込み向けビデオコーデックの遷移(今後)

前回のコラムの結びは、「ビデオコーデックのニーズは、ますます増えていくと想定されると考えます。」で終わりましたが、その想定について、少し余談を含めて話をしたいと思います。

ライフワークとして「人工知能(AI)と法(法律)」というテーマの研究を行っています。元々、AIの研究員(ソフトウェアエンジニア)として技術者キャリアをスタートしたのですが、AIの様々な研究による技術の発展、インフラ整備などの面で進化していく際に、社会に普及していくためには法律を整備していく必要があると考えているからです。

2000年から様々な国が監視カメラを使ったシステムを導入して、進化しています。中でもイギリスのロンドン市内の監視カメラの数は市民人口1人当たりで世界一と言われており(1)、中国本土では「天網」というAI監視システムが運用されています。「超監視時代」の到来という有識者・学者もいますが、AIが介入する「AI社会」には、AIを使用した監視システムが構築されつつあります。日本においては、憲法13条にある「個人の尊重」と個人情報保護法のプライバシー侵害の考え方から、AIが絡んだ監視システムの場合について議論すべき課題はあります(2)

話を本題のビデオコーデックに戻します。上記に記載したAI社会の実現には、更なる技術の発展が必要です。半導体プロセスの進化、次世代超高速通信、映像技術の発展などがキーファクタと考えています。その中で、次世代通信の5Gの本格運用とビデオコーデックはキーテクノロジーと考えています。

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5Gのコンセプトは、以下の図のように4Gを発展させた「超高速」だけでなく、「多数接続」、「超低遅延」といった新たな機能を持つ次世代の移動通信システムで、「超低遅延」は遠隔地にいてもロボット等の操作をスムーズに行うことを実現するものとなります。

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引用: 平成29年 総務省情報通信審議会 新世代モバイル通信システム委員会報告
(新世代モバイル通信システム委員会における5G技術的条件に関する検討状況)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000541989.pdf

上記の図では、遠隔医療について述べられていますが、遠隔地からの操作・監視を実現するためには、カメラで撮影された映像を「超高速で送信する必要性」、「高解像度(2K以上 4K/8K)、高フレームレート(60フレーム/秒)で送る必要性」、そして、「遠隔地で一定の操作や処理を可能とするために超低遅延の必要性」があります。5Gで高速・大容量化が整備されたといえ、映像データは膨大なものであるため、ビデオコーデックは必須の技術です。加えて、映像データを超高速に非可逆の高圧縮エンコード、デコードを実現し、映像品質も目で判断するレベルでエンコード前の品質と差がないことも求められます。それは、「超監視時代」の技術として不可欠なものとなります。

現在、ビデオコーデックは、MPEG2/H.264やVP9の時代から、H.265/HEVCとAV1(AOMedia Video 1)の時代に移行しつつあります。この2種類のビデオコーデックは技術的に長所・短所があります。

  • H.265/HEVCは、BS4K/8K放送に利用されていることや、コーデック処理時間がAV1に比べて短い(低遅延)であることです。

  • AV1は、動画圧縮率が符号化ブロックサイズやその分割形状、フレーム間予測の種類の多さからH.265に比べて高く、同ビットレートの比較においても画質がよいと言われています。

例えば、超低遅延を実現する必要がある映像配信、5Gを利用した遠隔地とのやりとりや監視システムにはH.265/HEVCを、通常のストリーミングにはAV1を利用するという用途別にビデオコーデックが利用されていくと考えられます。両方ともビデオコーデック処理は、ハードウェア資源を以前の時代のものよりも多く利用しますので、本格的な普及には更なる半導体プロセスの進化やメモリの高速化、ストレージ大容量化など発展も必要です。そしてビデオコーデックは、メディア(テレビ放送、ストリーミング放送など)の利用から、AI社会でも利用される技術として更に注目されると思っております。

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参考文献:

  • 山本 達彦 編著「AIと憲法」 日本経済新聞出版社

  • NATIONAL GEOGRAPHIC 日本語版 2018年4月号 日経ナショナル ジオグラフィック社

  • 平成29年 総務省情報通信審議会 新世代モバイル通信システム委員会報告

  • 日経XTECH「動画コーデック主役交代」

引用:
(1) NATIONAL GEOGRAPHIC 日本語版 2018年4月号 P.50
 英国 ニック・グレッグ前副首相

(2)慶應義塾大学教授 山本達彦 編著 「AIと憲法」 日本経済新聞出版社
 第1章

<記者プロフィール>
高瀬 和弘
SOC社コーデック製品、IPClock社製品を担当し、契約交渉人を兼務。
某大手SI会社の研究所にて、AIとマルチメディアの研究員として、自然言語研究開発、某社マルチメディアPCのアプリ研究開発および3D研究開発に従事。その後、某ゲーム会社で自社家庭用ゲーム機のSDK開発/国内外FAE部門の部長兼エキスパートエンジニアとして、また某組み込みWebブラウザ会社の開発統括部長と海外支社長を経て、現在に至る。ロンドンと台北に海外赴任経験あり。
妻、長男、母親の4人家族。3回目となる大学(法学)に在籍中、人工知能学会会員、趣味テニス。

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