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解像力向上化システムの使いみち #3 ~映像市場の2つの課題と解決方法~

第2回目のコラム(解像力向上化システムの使いみち #2 ~4K時代の要請に答える~)では、4K・8K化が進む映像市場でどのような課題があり、解像力向上化技術SPIDERがどういう形でそれを解決できるかを説明しました。本稿では、4K・8K化時代の課題をSPIDERで解決する方法について、もう少し詳しく見ていきます。

4K・8K市場の課題

まず、具体的な4K・8K市場の用途について、以下のような資料があります

1_4k8k_market

(富士キメラ総研『4K・8Kビジネス/市場の全貌 2018』より引用)

この資料で述べられているのは撮影機器と表示機器ですが、それらの4K・8K化に伴って、編集機器や伝送経路からメディアやコンテンツなど映像にかかわるすべての部分で4K・8K化が進むことになります。

そうした局面に立たされている様々な企業に話を聞いたところ、特に以下の二点が大きな課題と捉えられていることがわかりました。

【課題1】広帯域のためにコストがかかる

4K映像の放送・配信のニーズは高まってはいるものの、すでに設置されている回線設備を4K帯域に更新するコストがかけられない(放送事業者)、4K映像対応のために配信システムで右肩上がりの配信コストが発生する(映像配信事業者)、4Kカメラを採用したいが無線回線チャンネルは簡単には増やせない(監視カメラ事業者)など。

【課題2】高精細対応コンテンツを用意できない

4K放送や4K配信が開始され、会社が所有する大量の既存のコンテンツを転用したいが、そのほとんどがHD以前に作成されたもの(コンテンツホルダー)。そのままでは流せないので、膨大なSD・HD映像を4K化するために非常に手間とコストがかかる(ポストプロダクション)。手間をかけない一般的なアップスケーリング処理では、SD映像は4Kの高精細画面ではかなり低画質になるなど。

この二つの問題に対し、考えられる解決手法は以下のようなものです。
【課題1】広帯域のためにコストがかかる
→【解決方法1】画質を維持したままデータ量を減らす

【課題2】高精細対応コンテンツを用意できない
→【解決方法2】既存コンテンツを、高速に、高画質にアップコンバート

そんなことができるなら苦労しないという声が聞こえてきそうですが、この二つの解決方法を可能にする技術が解像力向上化処理SPIDERです。

具体的に、どのようにして解決できるのか、見ていきましょう。

画質を維持したままデータサイズを減らす方法

一般的に、映像をエンコードする際には、画質の劣化を伴います(画質の劣化を伴わない可逆型のエンコードも存在しますが、非可逆型に比べて圧縮率がよくないので、放送や配信、パッケージソフトにはすべて非可逆型のエンコードが使われています)。

現在、よく使われているエンコード規格は、映像配信用では古くはMPEG2、最近はH.264/AVCやH.265/HEVCなどですが、いずれも圧縮率を上げる(エンコード後のビットレートを小さくする)と、画質の劣化も大きくなります。つまり、データを小さくすればするほど、画質は劣化します。

2_spider_data_reduction1

しかし、エンコード前に、解像力向上化技術SPIDERの処理を入れることで、エンコード後の画質の劣化を軽減させることができます。圧縮率を上げても(エンコード後のビットレートを小さくしても)、画質の劣化は最小限に抑えられます。
その結果、SPIDERを使用して圧縮率を上げた場合と、従来の方法で圧縮率を上げない場合とでは、画質の劣化は大きく変わらない結果となります。場合によってはSPIDERを使用して圧縮率を上げた場合のほうが、画質が良く見える場合もあります。

3_spider_data_reduction2

この原理について少し技術的な観点でお話ししますと、解像力向上化処理では、画面の陰影の境界部分にメリハリをつけて解像感を与えます。これは映像の中の細かい部分(模様や背景、髪の毛、人の顔など)に顕著で、細かい部分がくっきり見えるようになります。
一方、H.264/AVCやH.265/HEVCといった最近のエンコード形式では、離散コサイン変換によって周波数成分ごとに圧縮アルゴリズムが適用されるので、高周波成分(映像の細かい部分)が維持されやすいです。SPIDER処理によって映像の細かい部分がよりくっきりしても、それがエンコードによってスポイルされることなく、デコードされても細かいくっきり感が残っているのです(下図は、左が通常の処理、右がSPIDER処理を事前に行ってからエンコードした映像です)。

4_spider_mov_pict

映像の細かいところがくっきりしていることで映像全体が引き締まって見え、精細感が増し、画質が向上したように感じます。つまり、SPIDER処理された映像をエンコードすると、多少の圧縮率の変動に影響されず、画質が向上したように感じるのです。実際は、高圧縮エンコードにより情報量が減っているので、動きの激しいフレームではブロックノイズ増えますし、それをSPIDER処理で補うことはできません。SPIDERはエンコード技術の特性を活かし、映像全体の画質「感」を向上させる技術とも言えます。

既存コンテンツを、高速に、高画質にアップコンバートする方法

国内でHDTVの放送が始まって17年が経過しましたが、地上波アナログであるNTSCの時代は60年もの年月があり、その時代に作られたSD規格の映像コンテンツはHD規格のコンテンツ数の比にならないほど膨大です(しかも、SD映像のほとんどがDigital BETACAMやHDCAMなどのデジタルテープとして保管されています)。
4K時代になっても4K規格のコンテンツなど早々に揃えられるわけはなく、放送や配信では既存のHDやSDの映像コンテンツが流用されます。パッケージソフトでも、旧作の再収録が目玉でありつづけます。SDからHDに移行する際もそうでしたが、HDから4Kでも同様の状況が続きます。

しかし、HDから4K(ここではUHD)には縦横2倍の解像度、SDから4Kに至っては縦横4.5倍の解像度となります。当然、単純拡大では画質が悪化するので、様々な補間アルゴリズムを用いて拡大しますが、画像は全体的にぼやけた感じになります。これらの処理は、一般的には映像編集ソフトを用いて処理結果を確認しながら行われますので、なかなかの手間がかかります。このようなアップコンバート作業は、もちろん人気作のニーズは高いのですが、人気作だけアップコンバートするわけにはいかず、それ以外の大量の作品も同じような手間がかかります。

解像力向上化技術SPIDERは、このアップコンバート作業を省力化するのに効果を発揮します。
SPIDERは保管アルゴリズムを用いて拡大されたぼやけた映像を、くっきりした映像に変換できます。前章で述べたように、SPIDERは画面の陰影にメリハリを付けて、細かい部分をくっきり見えるようにします。アップコンバートされたぼやけた映像にも効果は十分生かされます。(下図は、左が通常の拡大処理、右が拡大後にSPIDER処理を行った映像です)。

5_spider_upcon_pict

そして、このようなアップコンバート処理に対する解像力向上処理は、どのような性質の映像にも細かい設定を行うことなく適用可能です。アップコンバート処理も含めて、自動化することが可能です。このため、膨大な映像をきれいにアップコンバートするために、手作業でかかる手間を大きく低減させることができます。

6_spider_upcon_process

まとめ

以上のように、解像力向上化技術を用いて、4K時代の課題を解決することができます。いずれも普遍的かつ技術的な問題であり、将来は高性能な圧縮アルゴリズムの開発やAIによる画像処理などによって置き換えられていく可能性があります。
しかし、現段階で顕著な問題に対し、確実に今すぐに応えられるソリューションとして、我々はSPIDERをおすすめします。

ぜひ一度、SPIDERの解像力向上化処理の能力をお試しください。少量の映像・画像なら、無償でお試しいただけます。

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