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速くなるだけじゃない!5Gが支えるIoTの通信インフラとオリンピック体験

普段、私たちが使っているスマートフォンやタブレットの主な通信方式として、4GやLTEが挙げられます。しかし昨今、実現に向けて急速に準備が進められているのが、4Gの次世代にあたる通信方式「5G」の整備です。特に、来たる2020年の東京オリンピックまでに実用化を果たそうと、通信業界では5Gの現実的な利用に向けて開発を急いでいます。4Gの約25倍、LTEとの比較にいたっては約100倍もの通信速度を誇るという5G。しかしこの新たな通信技術が実現できることは、単に「速い」というだけにとどまりません。

4Gの次に来るモバイルネットワーク技術「5G」とは?

現在、モバイルユーザーになじみのある4Gは、日本では2012年ごろにサービスが登場しました。いわば、時を同じくして誕生したスマートフォン向けに開発されたモバイルネットワーク技術です。
それに対して5Gは、スマホに限らず「あらゆる端末およびアプリケーションを快適に利用するための技術」だといわれています。IoT時代にある現在、インターネットにつながる“すべてのモノ”との通信が対象になるということです。

5Gの3大特徴

5Gの最大の特徴として、「超大容量通信」「超低遅延通信」「超多数端末接続」が挙げられます。では、5Gは4Gと比較してどのくらい高速で、低遅延で、どれだけたくさんの端末に同時接続が可能なのでしょうか。

まず、日本で現在もっとも高速といわれているNTTドコモの4Gサービス「PREMIUM(プレミアム)4G」の通信速度は、最大で788Mbps(メガ・ビット毎秒)です。対して、5Gの通信速度は最大で20Gbps(ギガ・ビット毎秒)といいますから、単純に計算しても約25倍ということになります。LTEと比較すると約100倍も速いというから驚きです。
5Gがこれほどまでに速い理由としては、4Gで利用されている周波数帯に加えて、帯域幅の広い6GHz以上の周波数帯を利用することで飛躍的に高速かつ大容量の通信が可能になったからです。さらに、電波をアンテナから面状に飛ばすような従来の方法ではなく、各利用者の端末に個別に電波を飛ばせるような技術を採用したり、基地局をこれまで以上に多く設置したりというようなことも検討されています。

次に「超低遅延」に関していえば、4Gのネットワーク遅延が0.05秒程度であるのに対し、5Gは0.001秒以下です。これは、たとえば遠距離でLINEをしたりIP電話で話しても、時差が起こりにくくスムーズなやり取りが可能ということです。後に触れますが、こうした非常に低いレイテンシが実現できることで、5Gは自動運転や遠隔医療の分野への貢献が期待できるといえます。

そして、最後に「多接続」。5Gは、驚いたことに1㎢あたり100万以上の機器を、通信回線に「同時に」接続できるといいます。スマホやタブレットだけでなく、自動車、家電などあらゆるモノがインターネットにつながるようになり、これからますますIoTが普及する時代。2020年には通信データ量が44ZB(ゼタバイト)にも膨れ上がると予想されています。そして、ネットワークに同時接続されるIoTデバイスは、少なくとも500億台ともいわれていて、トラフィックの急増は確実です。
通信の負荷に耐えられる仕組みとして、5Gが主流となっていくのも時間の問題といえるでしょう。

自動運転分野で真価を発揮

IoTの普及によってもっとも期待されている分野といえば、自動車ではないでしょうか。5Gの超低遅延という特徴は、4Gでは実現できなかった緻密な自動運転システムの精度を飛躍的に上げてくれます。
たとえば、時速100㎞で走る自動車が通信制御を行う場合、0.05秒の遅延が考えられる4Gでは、異常を検知→停止指示→実際に停止するまでに1.4mも進んでしまいます。これでは、命に関わる事故が起こらないとも限りません。一方の5Gはというと、指示から停止までの距離を2.8㎝にまで縮めることができます。
ブレーキ作動情報がリアルタイムに近い間隔で伝わり、実行できれば、衝突事故を防げる可能性が格段に上がるのです。
自動車の事例のほかにも、正確性やスピードが重視される遠隔診察や遠隔手術など、医療の分野にも5Gの活用が期待されています。

2020年東京オリンピックに期待!5Gで未来はどう変わる?

自動車、家電、監視/セキュリティカメラなど、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT時代だからこそ、5Gが必要になる場面がますます増えてくるでしょう。言い方を変えれば、5Gが普及することで、これまでには考えもしなかったようなことが実現します。
とはいえ、5GがすべてのIoTデータ通信をカバーできるわけではない、ともいわれています。そもそも5Gは免許型のキャリア通信であり、デバイスや通信にかかる料金が高価になる可能性があります。そこで注目されているのが、低価格に、しかも免許不要で通信が可能な技術。近距離通信ではBluetoothやWi-Fi 、ZigBee、中距離通信ではLPWAネットワーク(Low Power Wide Area Network、LPWAN)といわれるLoRaWANやNB-IoT、SIGFOXなどが、5Gを補う通信方式として導入が検討されています。
たとえばKDDIでも、2018年1月からセルラーLPWA 通信サービス「KDDI IoTコネクト LPWA (LTE-M)」の提供をスタートさせました。軽く触れておくと、既存のLTEより低消費電力で、電池での駆動が可能なため多種多様なIoTに活用できるという特徴があります。また、4GLTEネットワークを利用することで安定した通信が可能で、対応する端末があればゲートウェイ機器を設置する必要もありません。しかも、WEBサイト上から回線の開通や停止、データ量の監視など遠隔での回線管理ができるため、ユーザーは柔軟に設定変更や運用を行えるメリットがあります。

5Gは、まだ商用化にはいたっていない無線通信規格ですが、たとえば、8K化や立体化など、衛星放送や光ケーブルではコスト面などが課題とされている映像分野では、5G通信による解決が現実的です。これは、2020年の東京オリンピックに向けて、IntelがNTTドコモとタッグを組んで、360℃の8K動画ストリーミングを実現しようと画策している事実から見ても明らかでしょう。
実は日本に先駆け、5Gの実証実験が行われていたのが2018年の平昌オリンピックでした。ムン・ジェイン大統領は、韓国を再びIT分野で世界をリードする国にすべく、IoTや自動運転にかかわるインフラ環境の整備を進めているのです。つまり、国を挙げて世界に5G体験をお披露目する場として、平昌オリンピックが選ばれたのでした。平昌オリンピックでは、フィギュアスケートの決定的瞬間を立体映像で見せたり、視聴者の見たい角度からリアルタイムな映像を見られたり、また、ボブスレーの正面に設置されたカメラから選手目線の迫力ある映像をライブで見られたりと、これまでにない映像体験を大多数の人が同時に楽しみました。
これが東京オリンピックで本当にできるようになれば、一度に多くの人がオリンピック会場にいながらにして、手元のスマホやタブレットで好きな角度から、間近に、しかも4K8Kクラスの高精彩な映像をリアルタイムに楽しむことが可能になります。もちろん会場にいなくても、どこにいても気軽にスマホ・タブレットからオリンピックを観戦することができるのです。
Intelはほかにも、東京オリンピックへ向けてスマートシティセンサー&コネクテッドカーや、選手が利用するためのAIについても5Gへの取り組みを掲げています。2020年の東京オリンピックはスポーツだけでなく、テクノロジーの面でも盛り上がりを見せてくれそうです。

5G関連ソリューション:
IEEE 802.3準拠 イーサネットレイヤ2提供IPコア

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