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スマート家電、IoT家電を支える最新組み込みテクノロジー

IoTの浸透によって、このところよく聞かれるのが「スマート家電」という言葉。別名、IoT家電とも呼ばれています。スマート家電とは、スマートフォンやタブレットなどとネットで繋がり、手元の端末をリモコンのようにして家電を操作したり、運転状況などのデータを端末で管理したりできる家電のことです。さらに、家全体をスマート家電によってIoT化した家のことをスマートハウスと呼びます。生活をより便利にしてくれるスマート家電、IoT家電には、どのような技術が使われているのでしょうか。専門的視点から見てみましょう。

“イマドキ”スマート家電&IoT家電をチェック!

洗濯機、エアコン、掃除機、テレビ、体重計、レンジ、炊飯器などなど、最近では、家の中のありとあらゆるモノがインターネットに繋がるようになりました。AI(人工知能)の学習能力も年々進化しており、まるでお手伝いロボットと暮らしているかのような便利な暮らしが実現しています。ところで、2018年現在、どのようなスマート家電&IoT家電が世の中に誕生しているのでしょうか。

・自宅のエアコンを、生活スタイルや季節に合わせた温度に調節
温度センサーを搭載したIoTデバイスがエアコンやヒーターと連動し、住む人の好みや季節に応じた温度に自動調節してくれます。住人の生活リズムを学習し、起床時や帰宅時に最適な温度に設定してくれる人工知能も備えています。家に人がいないときには電源が自動でオフになるなど、省エネ効果もあるようです。

・在庫数が少なくなったら自動的に商品を注文&配送
スマホやパソコンで手続きをしなくても、ボタンを押すだけで商品の注文が完了するデバイスとして有名なのが、ネット通販大手のAmazonが提供する「Amazon Dash Button」ですよね。ミネラルウォーターや洗剤など、Amazonで定期的に購入する日用品のボタンを購入して設置しておき、商品が少なくなったときに押せば注文が完了してしまうというもの。これに対し、ネット通販のスマートショッピングが、ボタンを押すことすらなく商品が自動購入できる「スマートマット」というサービスを、飲食店などの法人向けに開始しました。このマット状のIoTデバイスの上に、いつも買う必需品(24本入りミネラルウォーターの箱など)を置いておくと残量を勝手に計測し、ある程度まで減ったタイミングで自動的に注文を送信してくれるというものです。これにより、棚卸しや在庫確認の効率化、発注業務の自動化、営業・補充の効率化というメリットがあります。今後、個人向けにサービスが始まれば、日用品がなくなってから買い忘れに気づく、ということがなくなっていくのではないでしょうか。

・傘を持って行くべきかどうかを教えてくれる傘立て
Umbrella stand(アンブレラ・スタンド)というIoT製品をご存知でしょうか。スマホと連携し、その日に傘を持って出かけるべきかどうかを教えてくれる傘立てです。雨の降る確率が高い日には青色のライトで、晴れの日にはオレンジのライトが点灯し、傘が必要か不要かを判断できるようにしてくれます。

・震度4以上の地震で自動点灯するIoT LEDライト
「便利な生活」に止まらず、災害時の予期せぬトラブルにも助けになってくれるのがスマート・IoT家電です。MAmoria it(マモリアアイティー)は、震度4以上の地震が起こったときに、自動点灯するデバイスです。ホルダーから取り外せば懐中電灯としても使えます。地震による停電時にも、あわてて懐中電灯を探すことなく落ち着いて行動ができるすぐれものです。

どうなってる?スマート家電のIoT構造

こうした、便利でユニークなスマート家電&デバイスはどのような構造からなり、そこにはどのような組み込み技術が使われているのだろう…という、富士ソフトならではの視点から紐解いてみたいと思います。

スマート家電を形づくる4つの構成要素
スマート家電のIoT構造は、基本的にセンサー、クラウド、AI、アクチュエーションという4つの要素から成り立っています。センサーが取得したデータをクラウドにアップロード、それを人工知能が学習し、その結果をアクチュエート(人にフィードバック)するという仕組みです。
もう少し詳しく、各々の役割を見てみましょう。

【センサー】
センサーは、人間の五感に相当する「感覚」や自然界に起きる物理的な「現象」、化学的な「性質」を感知し、人間や機械が認識できる電気的信号に変換する装置です。ただ、センサーとひとくちに言ってもさまざまな種類があります。IoT環境を実現するためのセンサーが読み取るものとして、次のようなものが挙げられます。

・「有無」「形状」「位置」
・「圧力」「重量」「ひずみ」
・「速度」「加速度」「回転数」
・「熱」「温度」「湿度」
・「音声」「超音波」「振動」
・「可視光」「赤外線」「紫外線」
・「磁界」「電流」「電圧」

などです。
IoTでは、センサーが受け取った情報から計測や判別を行う技術のことをセンシングといい、これらの情報はネットワークによって有機的に結合され、クラウドに集められます。

【クラウド】
センサーによって収集されたデータは、クラウド(クラウドコンピューティング)に集積され、分析されます。クラウド上で分析された大量のデータは、障害予測などに活用されるほか、PCやスマホで作業記録の管理・共有ができるようになり、生産効率の向上やコスト削減に貢献します。IoTデバイス同士を直接対話させたい場合には、クラウドが間に入ってデータのやり取りをスムーズにする、という役割も担います。2020年ごろには、さまざまなIoT機器からクラウドだけでは処理できない量のデータが集まることが予測されており、クラウドによるデータ処理の負荷を軽減するためのIoTプラットフォームが続々と開発されています。

【AI】
クラウドに蓄積されたデータを、今度はAI(人工知能)が機械学習あるいはディープラーニングによって学び、解析・分析し、有益なデータに変えて返します。先述の、エアコンが家主の好みに合った温度を覚えて自動調節してくれる機能や、「スマートマット」のユーザーの消費サイクルを覚える機能などは、AIによるものです。無機質だった“モノ”が、「知能を持ったアシスタント」になる時代がAIによって実現したのです。
AI、特に、ディープラーニングや自然言語の理解と処理が進んだことにより、機械と人間の双方向のコミュニケーションが可能になりました。対マシンと言葉によるやりとりができるということは、単に「便利になった」だけでなく、高齢者や障がい者、介護者のニーズにも幅広く応えられるようになったといえます。このようにAIが進歩してきたのも、無数のパターンのデータをIoTによって今日まで収集・蓄積してきたからに他なりません。

【アクチュエーション】
アクチュエーションは、クラウド上で行われた判断を、モノがどのように動作に反映できるかという、IoT製品の価値を高める上で重要な概念です。人が陥った状況に最適なヘルプを、モノが的確に、しかも人の手を煩わせずにフィードバックできるかという、ユーザーにとってのソリューションに繋がるものといえるでしょう。先述の例でいうと、自動で在庫管理〜発注までを行ってくれるスマートマットや、傘の必要・不必要を天候から察知してLEDで知らせる「Umbrella stand」などがわかりやすいかと思います。そのほかにも、一人暮らしの高齢者宅に置いておき、使用状況によって離れた家族のスマホに安否を知らせる電気ポットや、愛犬の首輪に取り付けて、連携する飼い主のスマホで体調管理が可能になるデバイスなども出ています。今まではなかなか気づきにくかった「課題」に対しても、蓄積されたビッグデータとAIの進歩によって最適なアクチュエーションが可能になったといえるでしょう。
IoTビジネスにおいては、ビッグデータの中からいかに価値あるソリューションサービスを生み出せるかが重要なのです。

組み込みテクノロジーがスマート家電、IoT家電に欠かせないワケ

これら4つの要素には、すべて組み込みテクノロジーが働いています。というか、組み込みは「IoTに欠かせないもの!」と言っても過言ではないでしょう。
センシングで情報を収集する際には、役割に特化し、カスタマイズ性があり、コンパクトな設計で低消費電力のカメラ技術などが重宝されます。データ処理基盤やセキュリティに関しても、高い組み込み技術によるコネクティビティが求められます。さらには、収集されたビッグデータから最適な結果を素早くモノ(あるいは人)に返すアクチュエーションには、リアルタイム性を高度に叶える組み込みの特性が力を発揮します。

このように、スマート家電にはIoTに必要な組み込みテクノロジーがあらゆる面で駆使されています。スマート家電やスマートデバイスをお使いの方は、一度「組み込み技術はどこに・どんなふうに使われているんだろう?」という目線で見てみていただけるとおもしろいかもしれません。

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