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技術コラム_組み込み向けビデオコーデックの遷移(今後その2)

2020年8年31日、スポーツ界の大イベントで大きなニュースがありました。
テニスの全米オープンで、人間の線審を配置しない、電子ラインコールだけを使用する正式な試合が行われることになりました1。試合中のコート内は、プレーヤーの他に主審とボールボーイ3名のみとなります2
この大会が行われる会場の内、決勝が行われるメインコートとNo.1コートの2つの大会場は通常どおり主審と線審で行われるのですが、その会場の十数のコートの試合は上記の全ラインコールを電子音声となり、フォルト(サーブをミスすること)、アウト(相手のコートにボールを落とすべき場所が違うこと)というコールをします。
テニスは、ボールが必ず地面についた場所で判定することができるスポーツで、以前MONOistに寄稿したコラムにあるホークアイ・システムの拡張版になります(ホークアイ・ライブと言います)。
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1902/28/news014.html
市民レベルのテニスの試合では、主審線審がいないセルフジャッチで行うことがあり、ラインコート判定で度々トラブルが発生することがあります。もし、これが普通に購入できる価格で製造されれば、このようなトラブルが無くなるのではと個人的に思っています。

また、この大会中、優勝候補のNo.1シードのノバク・ジョコビッチ選手が、ゲーム外で打ったボールが線審の喉に直撃するという事故がありました。テニス選手の打つボールのスピードは、サーブの場合で200km/hを超えるスピードとなり、ボール自体は野球の硬球やゴルフボールよりは柔らかいですが、市民レベルのボールスピードでも大怪我につながります。線審もゲーム中ジャッジを優先にしてボールが当たるケースも多々あり、この電子ラインコールの普及が今後更にされると思われます。

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この技術には、超高速映像カメラが必要で約1,000コマ/秒が撮影できることが必要で、かつラインコールのための判定が必要なため、撮影映像を判定する機器・アプリに送るために超低遅延で送る必要があります。現在は、カメラと機器の間は映像用のSDIケーブルでつながれていると推測しますが、ネットワークで行われる場合は、超低遅延であるビデオコーデックが必要となります。

ここで、超低遅延というのは、どのくらいの遅延を指すのかが不明確です。以下に、私が考える遅延についての定義を記します。
まず、低遅延という定義は、1~2フレーム(例えば60分の1秒-60fpsの場合、約16.66ms)程度の遅延を指します。例えば、ビデオゲームの世界では、入力機器(コントローラ)の操作が実際のビデオゲーム映像に反映するまで、最低1フレームかかります。これは、ビデオゲームがコントローラからの情報を元に60fpsごとに1フレームの映像が生成されて、その生成データをテレビに反映するからです。
超低遅延という定義は、1ms以下の遅延を指します(1000分の1秒以下)。

ビデオコーデックは、超低遅延のニーズは今後更に用途が増えると考えています。以前の技術の進歩はいろいろな争いに勝つために技術革新が行われていました。現在は、社会の安全性の実現のために技術の進歩が行われると思っています。前段の全米オープンテニスの電子ラインコートは、コロナ禍の中での人々の安全のため、会場には観客を入れず、そして関わる関係者の削減をし、それでも正確な判定をするための手段でもあります。
5Gの普及により、遠隔地からの各種オペレーションが可能な環境が整備され、そのオペレーションには映像は大変重要な技術であり、超遅延のビデオコーデックは更に重要な技術となります。

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1 全米オープンテニスの前哨戦の大会(ATP1000 Cincinnati/NewYork)でも同システムが使用されており、それ以前でも使用された実績があります。
2 線審は大会によって人数が変わります。全米オープンテニスでは、各コートで8名の線審が配置されます。

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