バーチャルシミュレーションによる

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インタビュー

「バーチャル・テスト・ドライビング」で自動車開発を革新
IPG Automotiveが描くエンジニアリング事業へのビジョン

自動車業界は今、100年に一度の大変革期を迎えています。コネクテッド(Connected)、自動運転(Autonomous)、シェアリング(Sharing)、電動化(Electrification)の頭文字からなる「CASE」が叫ばれる中で、自動車開発のプロセスを抜本的に変革していく必要があります。具体的に日本の自動車メーカーはこれから何をなすべきなのか。「バーチャル・テスト・ドライビング」という基本コンセプトを通じて日本の自動車業界への貢献を目指す、IPG Automotive株式会社 代表取締役社長 小林祐範氏に話を伺いました。

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<プロフィール>

会社名: IPG Automotive株式会社
所在地: 東京都港区西新橋2丁目9-1 PMO西新橋9F
設 立 : 2014年6月9日
代表名: 代表取締役社長 小林 祐範 氏
U R L : https://ipg-automotive.com/jp/

小林氏のモチベーション

背景にあったのは日本の自動車業界に対する強い危機感

IPG Automotive GmbHは、ドイツのカールスルーエ大学(現カールスルーエ工科大学)からスピンオフする形で1984年に創業した車両開発ソリューションのプロバイダーです。そして30周年を迎えた2014年、本格的なグローバル展開を推進すべく、初の海外拠点として日本にIPG Automotive株式会社を設立するに至りました。
この新たな展開の立役者が、IPG Automotive株式会社の代表取締役社長を務める小林祐範氏です。もともとエンジニアとして自動車メーカーの研究所やエンジニアリグ会社でブレーキ系の設計・開発に携わってきた小林氏は、以前からIPG Automotiveが提供する革新的なシミュレーションシステムを熟知しており、「インダストリー4.0やCASE領域で先行するヨーロッパの自動車メーカーの開発プロセスや方法論、ツールを広めることで、日本の自動車業界全体を盛り上げたいと考え、IPG Automotive GmbHからの誘いに乗って日本法人の代表に就任することになりました」と話します。

背景にあったのは、日本の自動車業界に対する強い危機感です。日本の自動車の卓越した品質ならびに、その開発と絶え間ない改善を支えてきたエンジニアの技術力の高さは誰もが知るところです。ただ、その成功体験があるがゆえに伝統的なものづくりの在り方から脱却しきれなかったのも事実です。
「日本の自動車メーカーは各社各様で開発している部分が多すぎて、対応できるサプライヤーは限られてしまいます。CASEをターゲットとした開発を行うためには、これまでの自動車とはまったく異なるパーツやテクノロジーを導入しなければなりませんが、それぞれの系列に閉じたエンジニアリングチェーンやサプライチェーンからは、そうした新しいソリューションの調達はままなりません。加えてMBSE(Model-Based Systems Engineering)といった開発手法の導入でも遅れをとっています。結果としてヨーロッパの自動車メーカーと日本の自動車メーカーの間で、開発スピードの格差がどんどん広がりつつあります」と小林氏は話します。

自動車開発エンジニアが心から楽しめるものづくりを実現する

このままの状態を放置すれば、遠からず日本の自動車メーカーはヨーロッパの自動車メーカーに追い越されてしまうことになるでしょう。
裏を返せば、ヨーロッパの自動車メーカーが効率的かつアジャイルな開発を実践するために活用しているツールやプロセスを導入してうまく活用すれば、日本の自動車メーカーはより高いステージに立ってグルーバル市場で競い合っていくことが可能となります。そこで小林氏が目をつけたのがIPG Automotiveのシミュレーションシステムだったのです。もちろん日本の自動車メーカーも、シミュレーションシステムはずっと以前から大規模に活用してきました。ただ、これまでの縦割りの開発体制の中で、エンジン、トランスミッション、ブレーキといったモジュールごとに個別最適のシミュレーションシステムが使われてきたのが実情です。

しかし、例えば一定の条件下でハンドルから手を放した状態での運転操作をシステムに任せるレベル3以上の自動運転を実現しようとした場合、こうした縦割りの開発体制では通用しません。周りの環境や自動車全体の挙動をとらえたシミュレーションが必須となるからです。モジュールごとに導入されたばらばらのシミュレーションシステムを相互連携させるのは非常に困難で、インテグレーションに多大な手間とコストを費やしてしまい、肝心の開発作業が圧迫されるという本末転倒の悪循環に陥ってしまいます。

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IPG Automotive GmbHは、この課題解決を「バーチャル・テスト・ドライビング」という基本コンセプトを通じて、創業以来30年以上にわたって追求し続けてきました。バーチャル・テスト・ドライビングの目標は、現実の交通状況を細部に至るまで再現した仮想空間において、車両全体のシステムをテストすることにあります。これにより試作車がない開発初期の段階からさまざまな検証を行うことが可能となります。当然のことながら最終的な実車検証は欠かせませんが、バーチャル・テスト・ドライビングはその前段階で必要となる検証のすべてをシミュレーションによって行うことで開発プロセスを効率化し、大幅なコスト削減と時間短縮を実現します。

しかも、既存の資産やこれまでエンジニアが培ってきた技術ノウハウも無駄にはなりません。「例えばEV(電気自動車)を開発する際に、ブレーキに関しては自分たちが持っているシミュレーションモデルを適用したいといった場合、バーチャル・テスト・ドライビングのプラットフォームでは簡単に入れ替えて利用することができます」と小林氏は強調します。このようにIPG Automotiveが提唱するバーチャル・テスト・ドライビングは、単に開発プロセスを効率化するだけでなく、自動車開発のエンジニアがものづくりを心から楽しむことができる環境を実現するのです。

富士ソフトとのパートナーシップで日本の自動車業界に貢献

もっともIPG Automotive株式会社はまだまだ組織が小さく、日本の自動車メーカーから寄せられる多様な要求に応えることはできません。
そこで締結したのが富士ソフトとのパートナーシップです。「日本の自動車メーカーとビジネスを進める過程では、必ずといってよいほどレジデントエンジニアを派遣してほしいと要求されます。こうした顧客向けのサービスを富士ソフトに請け負ってもらうことにしたのです。富士ソフトのエンジニアの方々はもともと自動車業界の業務やR&D、MBSEを支えるシステムを熟知しており、さらにHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)の基盤構築にも長けたスキルを有するなど技術力が高く、お客様からも高い評価をいただいています。この強みを生かした協業実績を重ねることで、IPG Automotiveのシミュレーションシステムの横展開および富士ソフトの新規事業拡大という双方のビジネス戦略に合致した成長が可能になると考えています」と小林氏は話します。

さらにその先に向けて小林氏は、「自社のソフトウェア製品の販売もさることながら、より高度なエンジニアリングサービスをローカルで提供できる会社にしたい」という意向を示しています。ハードウエア領域、コンサルティング、オンサイト作業など、IPG Automotive株式会社だけでは完結できない部分は、富士ソフトをはじめとするパートナーと協業することでその体制を確立していく考えです。

設立当初から小林氏が個人的な思いとして抱いてきた「日本の自動車業界への感謝と貢献」というキーワードを掲げ、IPG Automotive株式会社は顧客の立場に立って開発プロセスの変革を提案できるソリューションプロバイダーへの発展を目指しています。

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