産業用PC(IPC)とは、工場やインフラなどの現場で長期間・連続して安定稼働するよう設計された業務用コンピュータです。民生用PC(一般的なパソコン)が価格の手頃さや最新性能を重視し1〜2年の短いサイクルでモデルチェンジを繰り返すのに対し、産業用PCは「止まることが許されない現場」での使用を前提とするため、性能よりも長期にわたる安定稼働が優先されます。
民生用PCとの違いは、次の4つの特徴に集約されます。
長期安定供給
民生用PCは短いサイクルで世代交代するため、モデルチェンジのたびに機種選定・設置・動作検証の手間がかかります。産業用PCは基本的に2〜5年、製品によっては10年以上にわたって同一モデルが供給され、メーカーが仕様変更や生産終了を事前に通知することも多いため、こうした再検証の負担を抑え、設備を長期的に安定運用できます。
高信頼性
24時間365日の連続稼働を前提に、製造工程で各種試験を実施し、長寿命部品の採用やRAID対応などにより高い信頼性を確保します。一般家庭やオフィス向けの民生用PCと異なり、長時間の高負荷でも安定して動作し続けます。
耐環境性
粉塵の舞う製造現場、振動の多い装置内、風雨にさらされる屋外など、過酷な環境での使用を想定した堅牢設計が施されます。完全ファンレス設計やIP65準拠のパネルPC、広い動作温度範囲など、高温・低温・高湿度に耐える吸排熱設計が追求されます。民生用PCの耐環境性は限定的です。
拡張性・カスタマイズ性
用途に合わせて柔軟に構成できるのも大きな特徴です。PCIeスロットや豊富なI/Oポートを備え、GPU・FPGA・各種拡張ボードの増設に対応。筐体・インターフェース・OSを個別仕様にカスタマイズでき、AI・IoT化に伴うセンシングや並列演算、I/O拡張のニーズにも応えられます。民生用PCは汎用性が重視され、拡張・カスタマイズの選択肢は限られます。
富士ソフトの組み込み製品サポート。選定から導入後まで、8つの支援メニューで伴走します。
用途・性能・予算・納期をお伺いし、AMD(Xilinx)/Altera(Intel)/Achronixなど多数の取り扱いから、要件に最適な産業用PCを製品担当FAEがご提案します。
搭載FPGA、メモリ、インターフェース、ファームファクターを組み合わせ、システム全体を見据えた構成をご提案。BTO対応ボードの仕様決めもサポートします。
本格導入前に実機で検証したい、というご要望に対し、評価ボードの貸出やサンプル手配をご相談いただけます。世界中の販売ネットワークを活かし迅速に対応します。
「想定した性能が出るか」を導入前に確認するPoC(概念実証)を支援。リファレンスデザインを活用し、立ち上げ工数を抑えて検証を進められます。
FPGA設計(RTL/HDL)、基板設計、組み込みLinuxやドライバ、アプリケーション開発まで、製品を活かしたシステム構築を受託開発としてご支援します。
ライフサイクルの長い産業機器向けに、長期供給やEOL(生産終了)を見据えた選定・代替提案、導入後の保守についてもご相談いただけます。
海外ベンダーへの技術問い合わせや交渉は、日本語FAEが代行。単なる通訳ではなく、技術を理解したエンジニアが内容を正確に橋渡しします。
導入・使用方法・不具合解析など、製品に関するお問い合わせに日本語で対応。必要に応じて海外開発元との電話会議にも同席し、課題解決まで伴走します。
産業用PCは、耐環境性(温度・振動・粉塵への耐性)、24時間365日の連続稼働を支える高信頼性、同一モデルを長期間調達できる長期安定供給、豊富なI/Oと拡張性を備えている点が、民生用PCとの主な違いです。民生用PCは価格が抑えられている一方、環境耐性や供給期間は限定的で、1〜2年でモデルチェンジするのが一般的です。
用途や設置環境に応じて、盤内に組み込むボックスPC、現場操作向けのタッチパネルPC、拡張性重視のラック型、超小型のSBC(シングルボードコンピューター)、カスタム開発向けのSoM(System on Module)などがあります。冷却方式ではファンレスタイプも広く使われます。
用途に必要なCPU・GPU性能、I/O(LAN/COM/USB/PoE/PCIe)、耐環境性(動作温度・防塵防滴・耐振動)、フォームファクタ(小型・パネル・ラック)、対応OS、供給期間・保守体制を総合的に確認することが重要です。「どの現場で・何を・何年動かすか」を起点に絞り込むと選びやすくなります。
データシートの動作温度範囲、振動・衝撃耐性、IP等級(防塵防滴)、EMC/ノイズ耐性を確認し、設置環境(粉塵・油煙・結露・ファンの可否)に適合するモデルを選びます。粉塵や油煙の多い現場では、吸気口のないファンレスPCが有効です。
ラック型やPCIe拡張スロット付きのボックス型であれば、GPUやFPGAボードを搭載できます。GPUはAI推論・ディープラーニング・画像処理に、FPGAは高速な信号処理やリアルタイム画像処理、低遅延が求められる用途に適しています。富士ソフトはFPGAやSoMを活用したシステム開発も支援しています。
Windows 10は2025年10月14日にサポートが終了したため、現在はWindows 11または長期サポート版(Windows 10 IoT Enterprise LTSC等)、もしくはLinuxの採用が一般的です。用途やアプリケーションの互換性、サポート期間に応じて選定でき、組み込み用途ではLinuxも広く利用されています。
産業用PCは長期安定供給を前提に設計されており、一度導入すると10年以上にわたって使い続ける現場も珍しくありません。設備の更新サイクルや保守を見据え、調達可能期間(ライフサイクル)とサポート体制を事前に確認することをおすすめします。
価格は、エッジ向けの小型モデルで数万円から、GPUを複数搭載するAI・画像処理向けの高性能モデルでは数十万円以上まで幅広く変動します。性能・耐環境性能・拡張性・カスタマイズ性・保守サポート・ソフトウェアライセンス・筐体仕様などが価格を左右します。
はい、可能です。富士ソフトは産業用PCの提供にとどまらず、SoMを活用したカスタムハードウェアの設計や、ハードを活用したアプリケーション開発まで一貫して対応できます。標準品で要件が満たせない場合も、お気軽にご相談ください。
富士ソフトは海外ベンダーの製品も取り扱っており、国内での導入・サポート体制を提供しています。豊富なラインナップから用途に合った製品を選定し、調達から開発支援まで対応しますので、メーカー選びや仕様の相談を含めてお問い合わせください。
とりあえず価格が知りたい、こんな産業用PCを探している、こういうシステムを構築予定だが要件にあう産業用PCを提案してほしい、製品ベンダーとの間に入ってサポートしてほしいなど、組み込みシステム開発の老舗でもある富士ソフトであれば、高い精度でお答えすることができます。質問だけでも結構です。迷ったらまずはお問い合わせ下さい。
ご相談・お問い合わせはこちら富士ソフトが提供する産業用PCソリューションは他の提供者とは一線を介す特長があります。それは単純な製品の提供だけは決して行わず、40年以上に渡る組み込み(エンベデッド)開発に基づいた技術者が、お客様の開発・保守のすべてをサポートするという点です。
皆様のこれまで産業用PCの製品の購入時、開発時、また運用時のお困り事すべてを弊社にてフルサポートするため安心してご導入いただけます。
最新のCPUを使いたい、耐環境性を追求したい、MOQが厳しい…等、産業用PCに対する要求仕様は非常に多岐にわたります。産業用PCの販売店に問い合わせをしてもなかなか期待する価格やスペックのものが見つかることは非常に難しいです。
富士ソフトでは産業用PCを得意とする台湾のベンダーを中心に、市場で高いシェアを誇る10社以上のメーカー製品をご提供することができる体制を整えております。
要求仕様をいただければ複数ベンダーより、価格や機能で最適な製品を選定させていただき速やかに比較検討いただけるご提案をさせていただきます。またタッチパネルやファンレス仕様や小型サイズ、さらには振動耐性や供給信頼性を必要とする民生用PC、そしてpci expressスロット付きや多彩なポートを備えた拡張可能なボックスPC等も含め、ご提供対応しております。
製品開発をすぐにスタートさせていただくご評価に着手いただくことが可能です。
富士ソフトは、産業用PC(産業用パソコン)、FAパソコン(Factory Automation PC)、IPC(Industrial PC)、産業用コンピューター、組み込みコンピューター、ファンレスなボックスPCやエンベデッドPCなど、さまざまな海外製品をして販売しております。インテルやLinuxを搭載したモデルも取り扱っています。
また、それぞれの製品に対応した拡張ボードやスロット、コントローラもご用意しています。英語はもちろん、それ以外の言語でもベンダーとの間に入って製品サポートを行いますのでご安心ください。
ハードウェア(Hardware)を調達できてもそのままではシステムとして成立しません、アプリケーションの実装が必要となってきます。また昨今のトレンドではAI、Deep Learningの機械学習への期待も高まっており、こちらの実装も必要となってくるでしょう。
従来のソフトウェア開発より高度化している中、製品の開発リソースへの課題も抱えるお客様も多いことと思います。これまで2,000社以上のお客様の組み込み(エンベデッド)開発に携わってきた富士ソフトでは組み込みソフトウェア(Embedded Software)の開発は最も得意とする部分でもありますし、最新のAI技術を駆使した開発もご対応させていただくことも可能です。
またAIやIoT化での数多くのセンシングが必要となった場合にFPGAでの並列演算やIO拡張が必要となった場合でも柔軟に対応することが可能です。仕様の柔らかい段階よりお気軽にご相談ください。私たちは、ハードな振動環境に対応した民生用パソコンも扱っており、高信頼の製品提供を目指しています。
産業用PCの調達にとどまらず、組み込み領域の開発を得意とする富士ソフトは、ソフトウェア開発もハードウェア開発もまとめて対応することが可能です。また、SOM(System on Module)を利用した開発も安心してお任せください。さらに、インタフェースの拡張やエッジコンピューターなど、ニーズに応じたカスタマイズも可能です。その他にも、マシンビジョンやサーバ設定、高性能なGPUコンピューティングの導入等、幅広い開発をサポートします。
例えば、PCI Expressやメモリの拡張にも対応します。また、特定の筐体に合わせた適切な電源選定など、一貫したサポートを提供します。また、定期的な保守サービスにより、お客様が安心してインストールした製品を使用できるよう、品質の信頼性を確保します。価格などについてお気軽にお問い合わせください。
産業用PCは、設置環境や用途に応じてさまざまな形態(フォームファクタ)があります。代表的なのは、ボックスPC、タッチパネルPC、ラック型、SBC(シングルボードコンピューター)、SoM(System on Module)などです。それぞれ得意とする用途が異なるため、「どこに設置し、何をさせるか」で選びます。
小型で堅牢な筐体に収めたスタンドアロン型のPCです。高温や振動に耐え、ファンレス筐体を採用したモデルも多く、狭小スペースやエッジ環境への設置に適しています。拡張スロットを備え、用途に合わせたカスタマイズもしやすい、産業用PCの中心的な形態です。
ディスプレイとPCが一体化した形態で、工場や産業現場のHMI(操作端末)として使われます。前面は防塵防滴(IP65など)に対応し、手袋をしたままでも操作できる強化ガラス製タッチパネルを備えたモデルが一般的です。
拡張性を最優先する形態で、複数のGPUやPCIeカードを搭載できます。AI・ディープラーニング、画像処理、HPC(高性能計算)など、高い処理能力が求められるサーバー用途に適しています。
1枚の基板上にすべてのコンピュータ機能を集約した形態です。コンパクトかつ低消費電力で、Linuxとの相性もよく、監視・制御用途の組み込み機器に多く採用されます。
プロセッサやメモリなどの中核機能を小型モジュールに凝縮した形態です。自社製品のキャリアボードに搭載することで、開発期間を短縮しながら独自仕様のシステムを迅速に設計できます。量産・カスタム開発を前提とする製品開発に向いています。
形態を選ぶ際は、設置スペース(盤内/現場/ラック)、必要な拡張性、冷却方式(ファンあり/ファンレス)、そして「既製品をそのまま使うか、自社製品に組み込んで開発するか」を基準に絞り込むと選びやすくなります。
産業用PCは、製造・物流・医療・交通・社会インフラなど、停止が許されない現場で幅広く使われています。共通するのは、過酷な環境での安定稼働と長期運用が求められる点ですが、業界ごとに重視される仕様は異なります。
製造業における生産ラインの制御、設備の監視、検査・測定などに利用されます。粉塵・油煙・高温・振動に耐える堅牢性と、各種制御機器と接続するためのI/O(COM・PoE・産業用イーサネットなど)が重視されます。
外観検査や産業ビジョン、AI推論などの用途では、GPUやFPGAを搭載できる拡張性の高いモデルが選ばれます。リアルタイムで大量の画像・データを処理する能力が求められます。
現場でデータを収集・一次処理するIoTゲートウェイとして、小型・低消費電力・広い動作温度範囲を備えたボックスPCやSBCが活用されます。
医療機器や検査装置の制御に使われ、高い信頼性に加え、医療分野の規格対応やセキュリティ機能が求められます。
交通制御、監視システム、デジタルサイネージなど、屋外や無人環境での長期稼働を前提とした堅牢性・耐環境性が重視されます。
このように、産業用PCは「どの業界の・どんな環境で・何をするか」によって最適な仕様が変わります。用途を起点に、必要な性能・耐環境性・インターフェース・形態を組み合わせて選定することが重要です。
産業用PCの価格は、エッジ向けの小型モデルで数万円から、GPUを複数搭載するAI・画像処理向けの高性能モデルでは数十万円以上まで、幅広く変動します。価格帯によって処理能力・耐久性・対応できる用途が異なるため、目的に合ったモデルを選ぶことが大切です。
おおまかな価格帯の目安は次のとおりです。低価格帯(数万円〜)は小規模な制御機器や情報端末、IoTゲートウェイ向けで、性能や拡張性は限定的です。中価格帯は一般的なFA設備や計測機器向けで、耐環境性と信頼性をバランスよく備えています。高価格帯(数十万円以上)は画像処理やAI解析向けで、GPU・高速SSD・大容量メモリなどを搭載します。
価格を左右する主な要素は以下のとおりです。
CPU・GPUの種類、メモリ容量、ストレージの種類と容量。高性能なほど価格は上がります。
広い動作温度範囲、防塵防滴(IP等級)、耐振動・耐衝撃性など、過酷な環境に対応するほどコストが上がります。
拡張スロットやI/Oポートの数。GPUやFPGA、各種カードを増設できるモデルは価格が上がりやすくなります。
顧客の要件に合わせて筐体・I/O・OSなどを個別仕様にする場合、標準モデルより価格が高くなります。
長期の安定供給や手厚いサポート・保証を提供する製品は、その分の価値が価格に反映されます。
OS(Windows 11/LTSCなど)や特定アプリケーションがプリインストールされる場合、そのライセンス費用が含まれます。
小型化や特殊形状、防塵・防水などの追加設計には、設計・製造コストがかかります。
産業用PCの選定は、価格だけでなく、性能・耐久性・供給期間・サポート体制など多くの要素を総合的に判断する必要があります。富士ソフトでは、これらを踏まえてお客様の用途に最適なモデルをご提案し、お見積りにも対応します。
産業用PCのインターフェースは、外部機器との連携や拡張性を左右する重要な要素です。USB、Ethernet(LAN)、シリアル通信(RS-232C等)、GPIO、DisplayPort、産業用ネットワーク(CANなど)、デジタルI/O(DIO)など、現場のニーズに応じて多種多様なポートや拡張機能が用意されます。インターフェースの設計次第で、システムの寿命・保守性・将来性が大きく変わるため、導入時は用途に応じた網羅性と拡張性を見極めることが重要です。
近年、特に中心的な役割を担う拡張インターフェースの一つがPCI Express(PCIe)です。高速データ転送が可能なスロット型インターフェースで、GPUやI/Oボード、計測モジュールなどを追加することで、PCの機能を柔軟かつ強力に拡張できます。リアルタイム処理や画像解析を要するFA現場では、PCIe対応が選定基準の一つになることも少なくありません。
産業用PCの性能は、CPUとGPUの選定で大きく変わります。汎用的な制御・演算はCPUが担い、画像処理やAI推論など並列計算が必要な処理はGPUが担います。用途に応じて、両者のバランスを見極めることが選定のポイントです。
IoT、自動運転(車載)、AI、VRといった最新技術の進展に伴い、GPUを搭載した産業用PCを、小型で信頼性の高い筐体で実現したいというニーズが高まっています。放熱性に優れたヒートシンク一体型筐体に高性能なCPU・GPUを搭載した小型モデルや、USB・COMポートなどインターフェースが充実したカスタマイズ可能なモデルが人気です。
産業用PC市場は、世界的に拡大が続いています。各種調査では、2025年時点で数十億米ドル規模とされており、製造業の自動化や設備更新、過酷環境での利用拡大、エッジコンピューティング需要の高まりを背景に成長が見込まれています。主要な動向としては、堅牢化・ファンレス化、エッジ/パネルPCの拡大、AI対応産業用PCの導入、IoT接続、予知保全、エッジ解析の実装などが挙げられます。産業用PCは、FA・PA、流通、医療、屋外サイネージなど活用領域を広げています。
このような市場拡大と活用領域の拡大の背景には、既製ハードウェアを活用して開発工数を抑え、その分をソフトウェア、クラウド連携、AI機能の実装に振り向ける開発スタイルの変化があります。
【出典】The Business Research Company / IMARC Group / MarketsandMarkets
産業用PCの発展は、拡張インターフェースの技術進化と密接に関連しています。産業用PCの普及初期においては、シリアル通信やパラレル通信に加え、ISAバス、PCI、SCSI、USBなどの拡張規格を組み合わせてシステムを構築する手法が一般的でした。特に、LANカード、ストレージ、RAIDカード、グラフィックス関連の拡張カードなどを用途に応じて追加し、産業機器や制御装置へ最適化した構成を構築する必要がありました。
その後、産業用PCは高集積化が進み、シリアル、パラレル、PCI、SCSI、USBなどのインターフェース機能が標準的に搭載されるようになりました。これにより、拡張カードを個別に追加しなくても、比較的短期間でシステムを立ち上げ可能となっています。現在では、ハードウェアの個別実装から、ソフトウェア開発、クラウド連携、AI活用、エッジコンピューティングへと開発の重心が移っており、産業用PCは現場のデータ活用基盤として進化を続けています。
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