組み込み向け自動テストソリューション

テストの自動化により、お客様の作業効率化と品質の高い評価を実現いたします

E2Eテスト自動化の完全ガイド|ソフトウェアテストの効率アップと品質向上を同時に実現する

E2Eテスト 公開日:2024年12月28日

ソフトウェア開発におけるテスト作業は、システムが大きくなるにつれて、リリースのたびに膨大な手間と時間を必要とします。特に、全体の動作を検証するE2E(エンドツーエンド)テストでは、複雑な操作の再現が求められるため、手動でのテストでは、開発チームの稼働が必要になり、それにより彼らのリソースを有効に使えない問題に苦しんでいる開発現場は少なくないかと思います。そんな中、E2Eテストの自動化が昨今、注目を集めています。ここでは、E2Eテストの自動化の基本、なぜそれが今重要なのか、メリット、デメリットといった話から、より実践的で具体的なツールの選び方やよく使われている最新ツールの紹介、E2Eテストの自動化の進め方までを徹底解説します。あなたのプロジェクトが次のステップに進むための鍵を、ぜひここで見つけてください。

目次

E2Eテストの自動化が求められる背景

E2Eテストの自動化が求められる背景

E2Eテストとは?

E2Eテスト(エンドツーエンドテスト,End-to-End Test)とは、システム全体の動作をユーザーの視点から検証するテスト手法です。Webサービスやアプリケーションなどの様々なプロダクトに対し、フロントエンドを経由し、バックエンド、データベース、さらには外部システムとの連携など、ユーザーがスマホアプリやWebサービスを実際に使用する際の操作を統合的かつ網羅的にシミュレーションすることで、アプリやサービスが期待どおりに動作しているのかを確認することを言います。

例えば、ECサイトにおいて、「ユーザーが商品を検索し、カートに追加し、決済を完了する」という流れを考えた場合、ユーザーがブラウザ上のGUIを介して、商品を検索すると、システムが商品DBを読みにいき、検索結果をブラウザに表示させます。その後、ユーザーがカートに商品を追加し、決済をしようとすると、システムが外部の決済システムとやり取りをし、問題なければ、申し込み完了ページをユーザーに表示させつつ、注文内容確認メールをユーザー宛てに送信するといった複雑なフローが必要になります。E2Eテストは、アサーションと呼ばれる仕組みの中で、これの工程の中で動くアプリケーションやAPI、ログインフローなど、すべてが正常に動作していることを確認しようとするものです。

なぜE2Eテストが必要なのか

以上のように、E2E(エンドツーエンドテストEnd-to-End)テストは、システム全体がユーザー視点で正常に動作することを確認するための重要なテストです。いわゆる単体テストや結合テストでは、個々の機能は検証できますが、システム全体の流れを保証することはできません。E2Eテストを実施することで、UIの動作、データの流れ、各コンポーネントの統合が正しく機能しているかを検証します。

特に、Webアプリやモバイルアプリでは、先程述べたように、フロントエンドとバックエンド、データベース、外部APIが連携するため、個別のテストだけでは検出できない問題が発生します。E2Eテストにより、変更による影響を事前に把握し、システムの安定性を確保するためにはE2Eテストが必要になります。

また、テストを自動化すれば、開発サイクル全体の品質向上とリリースの効率化が可能になります。CI/CDパイプラインに組み込むことで、継続的に品質を保証し、ユーザー体験の向上につながります。

E2Eテストの自動化とは

E2Eテストの自動化は、こうした一連の操作を人手で行うのではなく、スクリプトやツールを用いて自動的に実行するプロセスのことを言います。以前のE2Eテストは、手動テストで行われていましたが、当然テスターが一つ一つの操作を手動で実行するため、システムの規模が大きくなるに合わせ、比例的に時間と労力が増えていきます。一方で、近年のテクノロジーの進歩によって、これら作業の自動化が可能になってきました。前述したような一連のフローを、例えばSeleniumやCypress、UiPath™ Test Suite、Autify、Magicpodのようなツールを活用することで、様々な要素が連携したテストを、パラメーターを変えながら、何度でも、正確かつ迅速に実行できるようになりました。

似たイメージを持たれることもあるテストとして、システムテストがありますが、システムテストは、機能要件、性能、信頼性、セキュリティなど、様々な側面で、システムが仕様通りに動作するかを確認するもので、E2Eテストは、ユーザーの操作シナリオに基づいて、ユーザー体験の視点からシステム全体の機能性を検証します。また、テストの順序として、システムテストは通常、結合テストの後、E2Eテストの前に実施されますが、E2Eテストは、開発プロセスの最終段階で行われることが多いです。

GoogleやSlackなどのビックテックでは、サービスが複雑化しているにも関わらず、品質向上のためのリリースサイクルは短くなる一方で、そういったところが、E2Eテストの自動化を導入することで、新機能リリースのサイクルを短縮し、不具合の早期発見によって、バグの発生率を大幅に削減し、結果としてサービスの品質向上とユーザー体験の向上につなげてきました。

つまり、E2Eテストの自動化は、彼らにとっての競争力の源泉でもあるわけで、効率化だけでなく、システム全体の信頼性を向上させ、最終的には顧客満足度の向上にも貢献するものなのです。

なぜE2Eテストの自動化が重要なのか?

なぜE2Eテストの自動化が重要なのか?

現代のソフトウェア開発は、マイクロサービスやクラウド環境、多様な外部APIを利用することで、以前と比べ、比較にならないほど手軽に、大規模なサービスを構築することが可能になりましたが、その一方で、その最終形はかつてないほど複雑化なものになってきています。そのため、システム全体が正しく連携していることを確認するE2Eテスト(エンドツーエンドテスト)の重要性はますます高まっています。

しかし、先程のECサイトの例のように、決済までの流れを再現するにも、ブラウザによる動作や、DBとの連携、決済サービスとのAPI連携などを、以前のような手動によるE2Eテストだけでまかなおうとすると、時間的・人的コストが膨大になり、その過程でのヒューマンエラーのリスクも避けられません。

実際、リリース直前に発生する手動テストの遅延や、人的ミスによるバグの見逃しが原因で、リリースが遅れるケースは少なくありません。特にアジャイル開発やDevOpsのような迅速なリリースサイクルが求められる環境では、その本質に関わるような事態であり、致命的な問題になります。

E2Eテストを自動化できれば、その頻度やスパンを短縮することができ、結果的にその密度や頻度を上げるなど、より精緻な検証も可能になります。それにより、前述のようにユーザーがアプリケーションを利用する際に発生する潜在的な問題を早期に検出することができ、製品の品質を高め、結果として、顧客体験(UX)の向上を実現することができます。

最近では、E2Eテストの自動化は、継続的インテグレーション(CI)や継続的デプロイメント(CD)のパイプラインに深く統合され、コードの変更を即座に検証し、問題が発見されたら早期に解決に向けて動き出すまでの流れが自動化されてきています。結果として、エンジニアによる手動テストにかかる工数が大きく削減され、エンジニアが本来の開発作業に集中できる環境が整ってきています。

E2Eテスト自動化のメリット

E2Eテスト自動化のメリット

ここまで述べてきたようにE2Eテスト自動化は、効率アップや品質向上、コスト削減といった多くのメリットを提供します。それぞれの観点を具体的に解説していきます。

開発効率の向上

サービスアップデートや改修などの行う際、既存機能が、その変更によって影響を受けていないか確認するテストいわゆるリグレッションテスト(回帰テスト)が必要になります。

この作業は、過去にテストした機能、すでにリリースした機能が、アップデートの際に悪影響を及ぼしていないかを確認するものであり、当然、新しい機能をリリースすればするほど、その範囲は広がっていき、作業ボリュームも大きくなっていきますが、その性質上同じ機能に同じテストを繰り返すことが多いので、エンジニアの生産性を大きく下げる要因にもなっていました。

そのE2Eテストにおけるリグレッションテスト(回帰テスト)を自動化することで、元々手作業で数時間もかかっていた作業を数分で完了することも可能となり、チーム全体の開発効率も向上し、エンジニアはより多くの時間を新しい機能の実装や改善に振り分けることができるようになります。

また、データ駆動型テストを行う際にもE2Eテストを自動化することで、大きな効率化が可能になります。データ駆動型テストは、同じテストシナリオに対して異なる入力データを複数回に分けて実行するため、テスト自動化と非常に相性が良いテストです。例えば、Salesforceで、異なる顧客データや販売データを使用するようなE2Eテストにおいて、データ駆動型テストをテスト自動化ツールを介して実施することで、ビジネスプロセスを効率的に検証することができます。

品質の向上

E2Eテストの自動化は、網羅的なテストの実行を、より手軽に短時間で実現します。手動テストでは時間的な制約でやりきれなかったところや、人の目では見落としがちな部分も、自動化であれば、正確に検証することができ、バグの検出精度が向上し、結果としてソフトウェア品質の向上につながります。

コスト削減

テスト自動化を導入する際、通常は、自動化ツールの導入費用や、さらにエンジニアによるスクリプト作成のコストなどの初期投資が必要になりますが、長期的にみると、先程述べたように、手動テストに比べて時間と労力が大幅に削減されることで、総コストの削減につながります。

特にアジャイル開発では頻繁なリグレッションテストと呼ばれる回帰テストが必要であり、自動化はその工数を大幅に減らす効果があります。

リリースサイクルの短縮

自動化されたテストは、その前段階での準備に一定の時間が必要になりますが、実行に関しては、人の手をかけず、高速で実行することができます。また、フィードバックも迅速に得ることができるため、サービスのアップデートのリリースサイクルを短縮することで、結果としてサービスの競争力を高めることが可能になります。ワールドワイドで展開しているサービスの中では、継続的デプロイメント(CD)のパイプラインにE2Eテストを統合し、1日数百回のリリースを可能にしているなどの例もあります。

ユーザー視点のテストで顧客満足度向上も

E2Eテストでは、通常、実際のユーザーがGUIを操作する状況をシミュレーションします。これにより、UIの使いやすさやシステムの安定性を検証し、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させ、顧客満足度を高めることができ、長期的なビジネス成功にも貢献していきます。

※ただし、自動テストでは、いわゆるユーザビリティやユーザーの主観的な感覚に依存する「使いやすさ」やサービス自体の満足度などのUXは検証することができません。

E2Eテスト自動化のデメリットと課題

E2Eテスト自動化のデメリットと課題

E2Eテスト自動化は多くのメリットをもたらしますが、その導入にはさまざまな課題も存在します。本章では、自動化を進める上で注意すべき点を解説します。

自動化の難易度と複雑性

E2Eテストを自動化するための実装は、単純なユニットテストや統合テストに比べ、難易度が高くなります。テストシナリオはアプリケーション全体の流れを対象とし、フロントエンド、バックエンド、外部サービスなど、多くの要素が連携している必要があるからです。これらに対応するため、高度な技術と知識をもったエンジニアや専任チームが、適切なツール選定や環境構築、テストケース作成などを行う必要があります。

テスト対象のシステムのテスタビリティ

テスト対象のシステムが「テストしやすさ」を考慮していない場合、E2Eテストの自動化は困難になります。例えば、DOM構造が頻繁に変化するUIや、十分にドキュメント化されていないAPIなどは、テストスクリプトの作成は煩雑になりがちです。

テストの実行時間

E2Eテストはシステム全体を対象とするため、実行時間が長くなる傾向があります。アジャイル開発やCI/CDパイプラインの中で、自動化されたリグレッションテスト(回帰テスト)に想定以上の時間がかかるようだと、そもそものテスト自動化の目的に沿わない事態を引き起こす可能性もあります。

テストの不安定さ

E2EテストはOSやブラウザのバージョンや外部環境やネットワーク状態の影響を受けやすく、コードの変更がないにも関わらず、テストが成功したり失敗したりするなどのいわゆるFlakyなテスト(Flaky Test)が頻発し、テスト結果が不安定になることがあります。E2Eテストの場合、ページの読み込み時間や外部APIの応答遅延が原因でテストが失敗するケースなど、原因が多岐にわたる可能性があり、その原因を特定する難易度も高くなります。

メンテナンスコスト

アプリケーションの仕様変更やUI変更が頻繁に行われる場合、E2Eテストのスクリプトは継続的に修正が必要です。これにより、初期で期待した運用コスト削減のメリットを享受できない可能性もあります。特に、大規模プロジェクトではスクリプトのメンテナンスが膨大な負担となるため、テスト自動化導入段階で、柔軟かつ再利用可能なテスト設計が求められます。

初期コスト

すべてのテスト自動化のプロジェクトと同様に、E2Eテストの自動化にも初期費用が必要です。主なものでも、ツールのライセンス費用や、テスト環境の構築、さらにスクリプト開発のための人材リソースなどが挙げられます。そのため、導入前のテスト設計段階で、長期的なROIを十分に考慮して検討を進める必要があります。

代表的なE2Eテスト自動化ツールと選定方法

代表的なE2Eテスト自動化ツールと選定方法

続いて、E2Eテストの自動化に対応したツール選定の基準、選定方法や代表的なツールについて詳しく解説します。

E2Eテストに対応した自動化ツールの選定基準

E2Eテスト自動化ツールを選定する際には、プロジェクトの要件や開発チームのスキルセットを考慮し、適切なツールを選ぶことが重要です。検討すべき主な基準を詳しく解説します。

プロジェクト規模

小規模なプロジェクトでは、あえてシンプルで軽量なツールを選ぶことで、導入と運用のコストを最小限に抑え、ROIを早めに高めることも一つの選択肢です。その一方で、大規模なプロジェクトでは、一定のコストをかけつつも、テスト数の増加やデータ量の増加、環境の拡張などの高度なスケーラビリティや複雑なシナリオにも対応したり、ローコードで使えるなどエンジニア以外のリソースが活用できる仕組みが整った多機能なツールが必要になります。

対応プラットフォームとブラウザ

テスト対象がWebアプリ、モバイルアプリ、デスクトップアプリのいずれであるかを踏まえ、それが動作するツールであることを確認することが重要です。特にWebアプリケーションの場合、そのサービスで対応しているブラウザ(例:Chrome、Firefox、Safari、Edgeなど)すべてにツールが対応している必要があります。一部のツールは特定のブラウザでしか動作しないため、テストの網羅性に影響を与える可能性があります。

プログラミング言語

ツールごとに対応しているプログラム言語が異なります。開発現場でよく使われているSeleniumは、Java、Python、C#、Ruby、JavaScriptなど主要な言語に対応していますが、Cypressは、JavaScriptとTypeScriptのみの対応になっているなど、ツールごとにばらつきがあります。UiPath™ Test SuiteやAutifyのような高機能なツールの場合、ローコード、ノーコードでテストシナリオを構築することも可能なため、プログラミングの知識や経験がないメンバーでもテスト作業に参加することができます。このあたりは、どのようなメンバーにテストを任せたいのかなどによって、変わってくるため、初期段階で十分に検討することが重要です。

機能性

続いて、機能面で押さえておくと良い視点をご紹介します。

シナリオの自動作成機能

UiPath™ Test Suiteなど最近注目されているいくつかのテスト自動化ツールでは、ユーザー操作を記録して自動的にシナリオを生成する機能が備わっています。ユーザーがWebアプリケーションをブラウザで操作している流れを記録し、テストスクリプトを自動で作成する機能などが典型的なものです。

AIによる自動メンテナンス

最近では、テスト自動化ツールのAIへの組み込みも進み始めています。主なものが、AIを活用したメンテナンス機能で、AIがUIの変化を監視し、テストシナリオを自動的にアップデートするもので、システムの仕様変更に応じて、AIがテストコードを自動的に修正してくれるため、テスト自動化ツールの運用コストの1つであるツールのメンテナンス作業の工数を大幅に削減することができます。

コスト

コストで一番インパクトが大きいのは、ツールの初期導入費用と月額費用になります。また、ツールがプロジェクト数やテストケース数に応じて従量課金になっている場合など、自社での利用範囲を前もって見積もっておきましょう。高機能なツールの場合、初期費用が大きくなる傾向があるので、無料トライアルを通じて、できるだけ厳密にコストのシミュレーションをしておくことが重要です。

DevOps、CI/CD対応

テスト自動化ツールは、主にリグレッションテスト(回帰テスト)の負荷軽減など、継続的なリリース環境での活用を前提にしたものであるため、UiPath™ Test Suiteなど、最近の高機能なツールの中には、DevOps、CI/CDへの統合が可能なツールも出てきました。自社がアジャイル開発に取り組み、継続的、かつスピィーディーなリリースが求められる環境では非常に有用な機能になると思います。

サポート体制、ユーザーコミュニティ

どのようなツールであれ、テスト自動化ツールを使いこなすには、ツールの理解はもちろん、テスト自動化そのもののコツなど、一定の専門性が必要になります。Seleniumのようなオープンソースのツールの場合、初期導入の費用はかかりませんが、そのかわり公式なユーザーサポートはなく、その一方で、UiPath™ Test Suiteのような高機能なツールの場合、カスタマーサクセスのようなサポートはもちろん、オンライン上に公式のチュートリアルが存在するなど、ツールを使いこなすまでのサポートが充実しています。Seleniumのようなオープンソースの場合でも、チュートリアルなどは、探せば存在していますが、自分にあうものを探したり、内容の適否などの確認の手間が発生します。

代表的なツールと特徴

UiPath™ Test Suite

UiPath™ Test Suiteは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールとして世界的な評価をもつUiPath®をベースにしたテスト自動化ツールです。ローコードでE2Eテストの自動化環境構築でき、非エンジニアでもテストシナリオを作成可能です。

また、Webアプリ、デスクトップアプリ、モバイルアプリなどのデバイスに対応していることはもちろん、ファイル操作やデータテーブル操作、プログラミング実行やデータベースアクセスなど1500以上のアクティビティが利用可能で、非プログラマでも様々なテストパターンの作成が可能です。Office365やG Suite、Salesforceなどに対応したアクティビティもあり、SalesforceやSAPなど複数のサービスを横断したE2Eのテストが可能です。

テスト管理機能も充実しており、大規模プロジェクトにも対応でき、iOSとAndroidの様々な機種、OSのバージョンのスマートフォンやタブレットのアプリケーションを並列でテストすることも可能です。また、既存のRPAワークフローとの統合が可能で、システムのテストのみならず、業務プロセス全体の自動化とテストを一元管理できます。

日本語に対応した公式の無料eラーニングなど豊富な学習リソースもあるため、導入コストも比較的おさえられます。

富士ソフトのテスト自動化ソリューション

富士ソフトは、自社のテスト自動化プロジェクトやクライアントワークにおいてUiPath™ Test Suiteを活用し、大きな効率化を実現してきましたが、その成果を、主に組み込みシステム開発の現場に向け、「組み込み向け自動テストソリューション」という形で、ご提供しています。テスト自動化を考えているけど、どう始めたらいいのか?PoCをサポートしてほしい、開発現場の実態にあわせたテスト自動化を行いたいなどに関して、開発会社の富士ソフトだからこそお答えできるソリューションをご用意しております。

Selenium

Seleniumは、長年にわたり広く利用されているオープンソースの自動化ツールです。元々はテストに特化したものではありませんが、テスト自動化ツールとしてよく活用されています。複数のブラウザ(Chrome、Firefox、Safari、Edgeなど)や多様なプログラミング言語(Java、C#、Python、Rubyなど)に対応しており、柔軟性が高いことが特徴です。Selenium WebDriverを使用することで、ブラウザを直接操作し、ユーザーの操作をシミュレートできます。また、Seleniumを利用すれば、複数の環境で並行してテストを実行することも可能です。広範なコミュニティと豊富な情報が存在し、サポート体制も充実しています。ただし、設定や運用がやや複雑になる場合があり、専門的な知識が求められることもあります。

Puppeteer

Puppeteerは、Googleが開発したNode.jsライブラリで、Chromeなどのブラウザをプログラムから操作するためのツールで、ウェブページのレンダリングやユーザー操作を自動化でき、ヘッドレスモード(GUIなし)での実行も可能です。テスト自動化ツールとして有用で、ユーザーの操作をシミュレートし、フォーム入力、ボタンのクリック、ページ遷移などの一連の操作を自動化したり、ReactやVue.jsなどのSPA(シングルページアプリケーション)で生成される動的コンテンツにも対応しており、JavaScriptで生成される要素の検証が可能です。 GUIを必要としないヘッドレスモードでの実行も可能なため、CI/CDパイプラインに組み込み、自動テストを継続的に実行できます。特定のページ状態のスクリーンショットやPDFを生成でき、テストのエビデンス作成にも役立ちます。

Playwright

Playwrightは、Microsoftが開発した、TypeScriptで実装されたオープンソースのE2Eテスト自動化ツールです。高速かつ安定した実行性能が特徴で、Node.jsベースで構築されています。主要なブラウザ(Chrome、Firefox、WebKit)をサポートし、クロスブラウザテストが可能で、モバイルブラウザやモバイルエミュレーションやネットワーク状況のシミュレーションなど、多彩な機能を備えています。

Autify

Autifyは、ノーコードで操作可能なE2Eテスト自動化ツールで、プログラミング知識がなくてもテストシナリオを作成できます。主要サービスであるAutify NoCodeにはAIによる自動メンテナンス機能を搭載しており、アプリケーションの変更に対しても柔軟に対応できます。日本発のツールであり、日本語サポートが充実しているため、国内企業にとって導入しやすい環境が整っています。また、主要なブラウザや、モバイルブラウザ、モバイルデバイスにも対応しており、幅広いテストシナリオに対応可能です。

mabl

mablは、コード不要でGUIを操作することでテストを作成できるE2Eテスト自動化ツールです。自動テストの自己修復機能(オートヒーリング)を備えており、アプリケーションの変更に伴うテストのメンテナンス負荷を下げてくれます。また、詳細なレポート機能が充実しており、テスト結果の分析が比較的手軽に可能になります。CI/CDパイプラインとの統合も実現しています。

ATgo

ATgoは、日本製のテスト自動化ツールです。現状では、ブラウザから操作できるシステムを対象にしており、Windowsアプリ、デスクトップアプリ、組込アプリは非対応です。ローコードのシステムになっており、テストスクリプトの作成もGUIで直感的に非エンジニアでも操作可能なインターフェースを備えています。また、シナリオの自動生成やAIによるメンテナンス機能、自動エビデンス機能を備えています。

Ranorex®

Ranorex®は、デスクトップ、Web、モバイルアプリケーションのUIテストの自動化に対応したツールです。ローコードに対応を謳っており、プログラミング知識がなくても、ユーザー操作のレコーディングと再生機能を活用してテストを作成できます。また、RanoreXPathというXPathを利用した技術を活用し、座標に依存せずオブジェクトを認識するため、画面レイアウトの変更にも柔軟に対応でき、テストのメンテナンス工数も削減できます。また、他のツールと同様に主要なブラウザ(Chrome、Firefox、Safari、Edge)に対応しており、クロスブラウザテストもサポートしています。

Appium™

Appium™は、モバイルに特化したネイティブアプリ、モバイルWebアプリ、ネイティブアプリにWebViewを組み込んだハイブリットアプリに対応したオープンソースのテスト自動化ツールです。Java、JavaScript(Node)、PHP、Python、Ruby、C# など幅広い言語に対応しています。またSeleniumと下位互換性をもつソフトウェアのため、Seleniumに慣れた人は学習コストがすくなく、取り入れることができます。ただし、オープンソースのため、正式なサポートがなく、一から学習する場合は、完全に独学で進める必要があります。

MagicPod

MagicPodは、E2Eテストにも対応したテスト自動化プラットフォームで、Chrome, Edge, Safari, Firefox, Android, iOSなど幅広いブラウザテストと、Android, iOS, Flutterのモバイルアプリテストに対応しています。プログラミング不要で、直感的なGUIにより、エンジニアだけでなく非エンジニアでも容易にテストケースを作成・管理できます。特徴的なのは、AIエンジンがアプリケーションの画面から項目を自動検出するため、簡単に日本語のスクリプトを作成することができます。またAIによる自動修復機能により、UI変更時のテストメンテナンスコストも削減することができます。並列実行やJenkinsやGitHub Actions、CircleCIなどのCI/CDツールで、CI/CDパイプラインとの統合が可能で、効率的なテスト運用をサポートします。

T-DASH

T-DASHは、E2Eテストにも対応したバルテス社提供の、テスト自動化ツールです。Windowsアプリやモバイルアプリケーションに対応しており、MagicPodのように日本語で書いたテストケースをスクリプトとして実行することができます。CI/CDにも対応しており、Jenkinsとの連携も実現しています。

E2Eテスト自動化の導入手順

E2Eテスト自動化の導入手順

ビジネスにおけるあらゆるプロジェクトには計画的なアプローチが不可欠であり、それはE2Eテストの自動化プロジェクトにも当てはまります。本章では、導入プロセスを段階的に解説します。

現状のテスト状況の把握

まずは、現在のテストプロセスを詳細に分析し、課題を明確化します。今、手動テストにかけている時間やコスト、どのテストが自動化に適しているのかの判断、おもにテスト自動化の対象なるリグレッションテスト(回帰テスト)の頻度などを評価します。これらは、後述の目標設定やツール選定の基盤となります。

目標設定

テスト自動化の目的を具体的に定義することが重要です。例えば、「リリースサイクルを30%短縮する」や「リグレッションテスト(回帰テスト)の実行時間を50%削減する」といった目標を設定します。また、自動化するテストケースの範囲(クリティカルなユーザーフロー、主要機能など)を決定し、必要なリソース(人員、予算、時間)を見積もります。

ツール選定

目標やプロジェクト要件に基づき、適切な自動化ツールを選定します。ツール選定時には、エンジニア以外でも作業させたいのでローコードが必須だとか、E2Eテストの典型的なパターンで様々なシステムの連携に対応しているのかなど、必要な機能を満たしているかの確認にあわせて、日本語によるサポートが可能か、中長期的なコスト、学習曲線などを考慮します。

本格導入前のテストシナリオ作成

UiPath™ Test Suiteなど大抵のテスト自動化ツールは、無料トライアル期間が設けられているので、PoCとして実際のケースに合わせて、テストするシナリオを作成します。ユーザーの操作フローを再現するのはもちろんですが、エッジケースや異常系シナリオも考慮するなど、テストの網羅性を高めることで、実際のケースに近い形のテストを行い、PoCの精度を上げていきます。

CI/CDパイプラインへの統合の検証

アジャイル環境や大規模なシステムの場合、作成したテストスクリプトをCI/CDパイプラインにスムーズに統合できるかも検証します。GitHub ActionsやJenkins、GitLab CI/CDなどのCIツールと連携させることで、リリースプロセスの一部としてE2Eテストを自動化することが自分たちの環境で可能なのかを検証します。

テスト実行と結果分析

統合後、テストを実行して結果を確認します。期待通りの結果が得られない場合は、スクリプトやテストシナリオを調整しながら、満足行く結果がでるまで検証を続けます。その後、テスト結果を分析し、そこでかかる工数や手動テストと比較して得られた時間やコストの削減効果などを検証します。そこで得られた効果が期待するROIを満たすことができるかを検証し、導入可否を検討、最終決定を下していきます。

以上のようなプロセスを順に実行すれば、テスト自動化ツールの導入が期待する効果を発揮しないなどの事態を避けることができるでしょう。

注意しなければいけないのは、自動化の導入は一度完了すれば終わりでありません。アプリケーションのアップデートによって、テストケースに改修が必要になるケースがほとんどです。中長期的な視点での効果やコストを見極めることを忘れないようにしてください。

E2Eテスト自動化の実践

E2Eテスト自動化の実践

E2Eテスト自動化を効果的に運用するためには、実践的なテクニックや継続的な改善が欠かせません。この章では、壊れにくいテストを作るためのテクニック、テストコードの可読性を高める方法、そしてテスト結果の分析について詳しく解説します。

壊れにくいテストを作るためのテクニック

壊れにくいテストを作るには、安定性とメンテナンス性を意識した設計が重要です。まず、セレクタの選択には特に注意が必要です。DOM構造に依存しすぎると、UIの変更によりテストが容易に壊れるため、page.getByRoleなどのアクセシビリティ属性を使用したセレクタを優先することを推奨します。また、data-testidのような特定の属性は限定的に利用し、汎用性の高いテキストベースのセレクタ(例: page.getByTextと正規表現の組み合わせ)を活用すると良いでしょう。

テストコードの可読性を高める方法

テストコードの可読性は、チーム全体でのテスト運用の効率を左右します。まず、テストケース名は意図を明確にし、誰が見ても何をテストしているのか理解できるように記述します。例えば、「ログインボタンをクリックしてダッシュボードに遷移する」というシナリオでは、テスト名を「ログイン成功時にダッシュボードが表示されるべき」と記述すると分かりやすいです。

コード構造も重要で、ページオブジェクトモデル(POM)の採用を検討することで、関連するテストをグループ化し、再利用性を高められます。また、DRY(Don't Repeat Yourself)原則を適用し、画面操作や共通の処理を適切に共通化することで、重複コードを削減できます。ただし、期待値の算出ロジックは明示的に記述することで、テストコードの目的を曖昧にしないようにします。

テスト結果の分析

テスト実行後の結果を分析することは、自動化の成功に欠かせません。テストが失敗した場合、その原因を特定し、必要に応じてスクリプトやシナリオを改善します。失敗の多いテストは優先的に見直し、環境の影響や一時的な問題がないか確認します。

さらに、テスト結果の分析を定期的に行い、改善点を洗い出します。例えば、特定のシナリオで失敗が頻発する場合、そのシナリオを重点的に精査し、テスト設計やデータ管理の方法を見直します。また、不要になったテストや、削除された機能に関連するテストは速やかに廃止することで、メンテナンスコストを抑えることができます。

継続的な改善を行うことで、テスト自動化の精度と効率はさらに向上します。チーム内での知識共有や、ベストプラクティスの文書化も忘れずに行い、組織全体で自動化の品質を高める仕組みを構築しましょう。

まとめ

E2Eテストの自動化は、テスト作業の効率化とソフトウェア品質の向上を同時に実現する強力な手段です。ここでは、E2Eテストの基本からメリット、導入手順、ツール選定のポイントまでを解説しました。繰り返し述べたようにE2Eテストの自動化は、スピードアップだけでなく、バグの早期発見やユーザー体験の向上に寄与するものであり、競争が激化する現代のソフトウェア開発において、サービス品質の差別化の鍵となるものだと思います。

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