OSS/SBOM管理ツール Black Duck SCA

ソフトウェア部品に関するリスクを管理するためのOSS管理&SBOM管理ツール。
豊富な解析機能と圧倒的な情報量でSBOMおよびレポート(通知ファイル)の生成などお客様の脆弱性対策を強力にサポートいたします。

SBOM管理ツール導入徹底ガイド。基本機能から選び方まで、抑えるべきポイントを徹底解説

SBOM管理ツール導入徹底ガイド。 公開日:2025年6月1日

目次

SBOM管理ツールとは

SBOM(Software Bill of Materials)とは、元々、主に製造業で使われているBOM(Bill Of Materials)に由来する言葉です。製造業では、製品に必要な部品を一覧表にしたものをBOMといっていますが、SBOMの場合、ソフトウェアのすべてのコンポーネントを一覧化した「ソフトウェアの部品表」です。どのパッケージが使われ、どのバージョンで、どんなライセンスか、を明確にすることで、透明性とセキュリティを確保し、安全なソフトウェアのサプライチェーンを構築するのが目的です。

一方で、SBOM作成には、膨大な時間と労力が必要になります。SBOM管理ツールは、こうしたSBOMの生成・更新・共有などを効率化する役割を担うもので、現在までに様々なベンダーが、SBOMを管理するためのツールをリリースしています。

OSS/SBOM管理ツールとも言われることもありますが、OSS管理ツールとした場合は、OSSの管理にフォーカスを当てたツールであり、SBOMは、OSSも含めたソフトウェア全体を対象範囲としたものであり、細かい差異はあるものの、そこで求められる基本的な機能に大きな違いはありません。

なぜ今、SBOMが求められるのか?

SBOMやSBOMツールが急速に注目を集める背景には、ソフトウェアサプライチェーン攻撃の深刻化があります。2020年に発生した「SolarWinds事件」では、ネットワーク監視ソフトに埋め込まれたマルウェアが全米の政府機関や企業に波及し、さらに2021年には「Apache Log4j」の脆弱性が世界中のシステムに影響を及ぼし、OSS(Open Source Software)に潜むリスクの大きさを浮き彫りにしました。

SBOMを構成する要素

SBOM(Software Bill of Materials)は、ソフトウェア製品に含まれるコンポーネントやソースコードの構成を可視化し、サプライチェーン全体の透明性とセキュリティを確保するための「ソフトウェアの部品表」です。

Telecommunications and Information Administration)が2021年に定義したのが、以下の3つの「最小要素(Minimum Elements)」です。

1. Data Fields(データ項目)

Data Fieldsとは、SBOMが取り扱うコンポーネントごとに記載すべき基本情報の一覧です。これはSBOMの“中身”に相当するもので、ソースコードやバイナリに含まれるソフトウェア部品の追跡性を高めるために必要不可欠です。
具体的には:

  • コンポーネント名(Name)
  • バージョン情報(Version)
  • サプライヤー名(Supplier)
  • 識別子(例:PURL、CPE)
  • ライセンス情報
  • コンポーネントの依存関係
  • ハッシュ値(整合性確認用)

これらの項目は、SPDXやCycloneDXなどのSBOMフォーマットにも明示的に定義されています。サプライチェーンのセキュリティ分析や脆弱性管理の基盤となるものであり、SBOMの信頼性を担保する最小単位と言えるでしょう。

2. Automation Support(自動化対応)

Automation Supportは、「SBOMが人手に頼らず、自動で生成・処理されるべきである」という要件を指します。ソースコードの変更やコンパイルのたびに、手動でSBOMを更新することは現実的ではありません。特に、マイクロサービスが複雑に絡み合うサプライチェーンにおいては、自動化がなければ運用が破綻します。
ここで求められる要素には、以下があります。

  • CI/CDツールとの統合(GitHub Actions、GitLab CIなど)
  • SBOMのマシンリーダブルな標準フォーマット(SPDX, CycloneDXなど)での出力
  • REST APIやCLIでの操作性
  • 自動署名と検証(Sigstoreなど)
  • VEX(脆弱性勧告情報)との統合

自動化により、コンポーネント変更のたびに即座にSBOMを再生成し、セキュリティ検証まで一気通貫で実現できます。特に、SBOMがDevSecOpsの一部として機能するには、この「自動化対応」が必須です。

3. Practices and Processes(運用・実践体制)

最後に重要なのが、Practices and Processesです。これはSBOMを“使い続ける仕組み”に関する指針であり、組織全体での運用ルールやプロセス設計を意味します。
例えば、以下の運用、体制を整える必要があります。

  • どの開発ラインでSBOMを作成するのか(適用範囲)
  • 誰がメンテナンスするのか(役割と責任)
  • 外部に提出するSBOMのフォーマットや頻度
  • 教育やガバナンス体制の整備

これらは、コンポーネントやソースコードに関する技術的な情報だけでなく、組織としてサプライチェーンの透明性を継続的に維持する文化と体制の構築に関わる要素です。

SBOMツールの基本機能

SBOMツールは、ソフトウェアに含まれるOSSや外部ライブラリやコンポーネントなどの構成要素を可視化するだけでなく、脆弱性やリスク管理とライセンス管理などのコンプライアンス対応の中心的役割を担うツールです。

従来、ソースコードやライブラリの管理は開発チームごとにバラバラであるケースも少なくなく、全社的な統制や脆弱性把握に多大な工数がかかっていました。SBOMツールを活用することで、こうした属人的な管理体制を脱し、リスクの早期発見と説明責任への対応を自動化できます。

SBOMツールは、大きく「SBOM管理ツール」の要素と、「SCAツール」(ソフトウェア・コンポジション解析ツール)の要素に分けられます。「SBOM管理ツール」は、SBOMを作成し、そのメンテナンスをしていくツールであり、「SCAツール」は、OSS含めたソフトウェアコンポーネントを特定し、それらに含まれる脆弱性やライセンス違反を検出、管理するためのツールです。

ツールによって、細かい差異はありますが、以下にSBOMツールの基本機能をまとめました。

主な基本機能

・SBOMの自動生成
ソースコード、バイナリ、コンテナなどを解析し、構成情報を標準フォーマット(SPDX、CycloneDXなど)で出力します。

・脆弱性情報との照合(CVE連携)
公開脆弱性データベース(例:NVD)とリアルタイムで突合し、リスクを自動で特定します。

・ライセンスの自動識別・評価
OSSライセンスの互換性や制約を解析し、法的リスクを見える化します。

・VEX情報との連携
「影響あり/なし」を示す脆弱性勧告情報(VEX)を表示し、対応優先順位を明確化します。

・関係者との安全な共有機能
署名付きSBOMを生成し、取引先や監査人への提出に活用します(改ざん検知機能付き)。

・CI/CDパイプライン連携
GitHub ActionsやGitLab CIに組み込み、継続的なSBOM生成と検証を自動化します。

SBOMツール導入のメリット

SBOMツール導入により得られる代表的なメリットを3つに整理してご紹介します。

1. 脆弱性管理の効率化

SBOMツールは、ソフトウェア構成の可視化をすることで、NVD(米国脆弱性データベース)などとリアルタイムで連携することが可能となり、使用中のOSSに含まれる脆弱性を自動的に検出します。

2. コンプライアンス対応の簡素化

SBOMは、各OSSのライセンス情報も記録しており、GPLやAGPLといった制約付きライセンスの利用状況を自動抽出できるため、ライセンス違反リスクの早期発見が可能となり、ISO 27001やSOC2といった認証取得の監査対応もスムーズになります。

3. DevSecOps推進による工数削減

CI/CDと連携することで、ビルドのたびにSBOMを自動生成・検証できます。これにより、セキュリティゲートを高速で通過させながら、リリース停止を未然に防ぐ仕組みが構築できます。

SBOMツール導入の課題

SBOMツールはセキュリティと透明性の要となりつつありますが、いざ導入しようとする際には、いくつかのハードルがあります。以下、現場でよく挙がる課題と解決の方向性を整理します。

フォーマット・ツール間の差異

SBOMには主に「SPDX」「CycloneDX」などの標準フォーマットがあり、ツールごとに対応状況や出力内容が異なります。相互運用性を確保するには、変換ツールや複数フォーマット出力機能を備えたSBOMツールの選定が不可欠です。

社内プロセス整備と人材不足

SBOM運用には、出力→分析→共有→更新の一連の体制構築が求められます。特に人材が限られる中小企業では、自動レポート機能やわかりやすいUIを備えたツールを活用し、教育コストを抑えることも検討する必要があります。

コストとパフォーマンスのバランス

SBOMツールにも、フリーで使えるOSS型もあり、初期費用を抑えられる一方、社内でのメンテナンス負荷が課題になります。商用SaaS型は保守とセキュリティ支援が手厚いものの、利用ユーザー数や生成頻度に応じた従量課金が発生します。導入目的や人員体制に応じた選定が鍵となります。

SBOMフォーマット標準比較

SBOMツールを導入する際、「どのSBOMフォーマットを標準とするか」を選択する必要があります。フォーマットによって出力内容、分析機能、他ツールとの連携性が異なるためです。当然、自社で使うフォーマットは統一することが望ましいですが、顧客から別のフォーマットを指定されるようなこともあるかもしれません。ここでは、現在広く利用されている3つの代表的なフォーマットと、その選定基準について解説します。

SPDX:法務・契約周りに強い“業界標準”

SPDX(Software Package Data Exchange)はLinux Foundationが主導する国際標準(ISO/IEC 5962:2021)で、NTIAの標準に沿って設計されました。特にOSSライセンス情報の明示に強みがあります。法的リスク回避や第三者認証(例:ISO 27001)でのエビデンスとして活用されることが多く、社外提出用にも適した構成です。

CycloneDX:脆弱性管理を重視する企業向け

CycloneDXはOWASPが策定したフォーマットで、脆弱性管理を中心に設計されています。CVE、CWEとの統合がスムーズで、VEX(脆弱性勧告情報)との連携にも対応しやすいのが特徴です。DevSecOps環境やセキュリティゲートの自動化に向いており、特にセキュリティ優先の体制にフィットします。

SWID:資産管理・ソフトウェアインベントリ用途に強み

SWID(Software Identification Tag)はISO/IEC 19770-2に準拠したタグベースの形式で、セキュリティソフトや資産管理ツールでの採用が進んでいます。SBOMというより「構成管理情報」としての性格が強く、ITAMやライセンス監査での活用に適しています。

場合によっては、変換・互換性ツールの活用を

理想的には1つの形式に統一したいところですが、現実には開発チーム・取引先・規制要件で異なるフォーマットが混在することがあります。その際に有効なのが、異なるフォーマットへの変換ツールや、複数フォーマットを同時出力できるSBOMツールの活用です。変換ツールとしては、cdx2spdxが代表的なオープンソースの変換ツールですが、Black Duck SCAなどの商用ツールは、複数の形式での書き出しに対応しており、実質的に複数形式間の変換に対応しています。

SBOMツールの種類と比較ポイント

SBOMツールは、単に部品表を作成するだけではなく、企業のリスク管理、監査対応、DevSecOps推進の基盤として多くの役割を担います。2025年現在、ツールの選択肢は広がっており、用途や組織規模に応じた最適な選定が求められます。ここでは、SBOMツールを選ぶ上で押さえておきたい主要な比較ポイントを6つに分けて解説します。

自動生成 vs 手動生成

SBOMの生成方法は、導入規模と運用体制を左右する重要な選定ポイントです。
自動生成型は、CLIやAPIを通じてCI/CDに組み込む形で運用され、コード変更に即応したSBOM生成が可能になります。Black Duck SCAのような高機能ツールの場合、ビルド時に自動的にリポジトリ全体をスキャンし、変更点の差分を検出しつつ最新のSBOMを出力する機能を持っています。

一方、手動生成型は、小規模プロジェクトやPoC環境では扱いやすい反面、構成変更に追随できず、陳腐化・属人化しやすいというリスクがあります。CI/CD化を視野に入れるなら、自動生成は必須条件といえるでしょう。

オープンソース vs 商用

OSS型(例:Syft、Ort)と商用SaaS型(例:Black Duck SCA、FOSSA)には、それぞれ導入思想と得意分野があります。OSS型は無償かつ軽量なため、クラウドネイティブ環境での迅速なPoCやプロトタイプ構築に適しています。DevOps体制における内製文化とも相性がよいです。

対して商用型は、法務部門や監査部門へのレポーティング機能、VEX対応や脆弱性情報の優先度スコアリング(CSA)といった高度機能が搭載されています。特にBlack Duck SCAは、独自のリスク評価モデルに基づいたCSA機能により、開発現場にリスクの背景”を伝えることで、意思決定のスピードと精度を両立させることが可能です。

標準フォーマット対応可否

SBOMツールは、「SPDX」「CycloneDX」「SWID」などの出力フォーマットへの対応範囲によって、企業間連携やツール間連携の柔軟性が変わります。例えば、米政府調達ではSPDXが推奨される一方、セキュリティベンダー間ではCycloneDXでの連携が進んでいます。

Black Duck SCAのような高機能なツールでは、複数フォーマットへの対応に加え、SBOM出力の自動署名機能(Sigstore連携)や、出力物へのメタ情報(例:スキャン日時、ビルドIDなど)の付与も可能で、後工程でのトレーサビリティ強化にも対応しています。標準対応だけでなく、「誰が使うか」「どこに渡すか」を踏まえた拡張性も検討ポイントです。

他ツールとの連携機能

SBOMが実務に活きるかどうかは、他ツールとの連携設計にもかかっています。CIツール(Jenkins、GitHub Actions)、構成管理(Terraform、Ansible)、チケット管理(Jira、ServiceNow)、脆弱性管理(Snyk、Nessus)などとの統合は、日々の運用効率を左右します。たとえば、Black Duck SCAの場合、これらと連携するREST API群とWebhook通知機能を持ち、開発パイプライン内でのSBOM出力、CSAレポート生成、VEXイベント通知を自動化が可能です。例えば、影響度が高いCVEを検出した際、自動でJiraチケットを作成し、担当者へ通知するといった「運用を設計できる」点が特徴です。

UI/UXとCI/CD統合の容易さ

開発現場での実用性を高めるには、ツールの操作性と統合の容易さが重要です。CLI操作が必須なツールはスクリプト化しやすい反面、非エンジニアには扱いづらいという欠点があります。Black Duck SCAなど、一部の高機能なSBOMツールの場合、ダッシュボードでのSBOMステータス管理、CSA結果の可視化、ExcelやPDFによるレポート出力などGUI機能が充実しており、CISO・PM・法務など非技術部門の利用にも配慮されています。

ライセンスコスト

どのツールにも言えることですが、ツール選定時には、費用対効果の視点を持つことが重要です。OSSツールは初期費用がゼロで始めやすい一方、企業利用における法的保証や長期サポート、トレーニングリソースが不足しがちです。一方でBlack Duck SCAのような商用ツールは、開発者単位・プロジェクト単位・年間スキャン数単位での課金が一般的ですが、CSA機能を含む脆弱性対応の迅速化、Jira連携による運用省力化、コンプライアンス対応工数の削減などによって、トータルコストを大幅に下げることが可能です。ライセンスコストのみに縛らず俯瞰した視点で、費用帯効果を算出しましょう。

代表的なSBOMツール

SBOMツールの選定は、「脆弱性対応の迅速化」「ライセンス管理」「開発者の使いやすさ」など、組織ごとの重視ポイントに応じた選び分けが求められます。現時点で注目されている主要なSBOMツールとその特徴を紹介します。

• Black Duck® SCA(商用)

Black Duck SCAは、SBOM生成とOSSコンポーネント管理を統合したエンタープライズ向けソリューションです。最大の特長は、単なる脆弱性の列挙ではなく、Cybersecurity Assessment(CSA)機能によってCVEごとの“悪用可能性”“回避策の有無”“攻撃コードの公開有無”などをスコア化し、対応優先度を明確に提示できる点にあり、開発・セキュリティ・経営層それぞれの判断を迅速化し、セキュリティ対策の“意思決定コスト”を大幅に下げることが可能です。SPDXとCycloneDXの両フォーマットに対応しており、NIST SP 800-218準拠のSBOM生成可能です。CI/CDツール(Jenkins、GitHub Actions)、チケット管理(Jira)、脆弱性管理ツールとのAPI連携機能が充実しており、SBOMの自動生成からVEX連携、監査用レポート出力までをワンストップで運用できます。特に、米国大統領令14028やISO 27001、SOC2といった認証対応を求められる企業にとって、信頼性とガバナンスの両立が図れる代表的なSBOM/SCAプラットフォームといえます。

• Checkmarx SCA(商用)

Checkmarx SCAは、静的コード解析に強みを持つCheckmarxが提供しています。依存関係の可視化とともに、ソースコードに潜むセキュリティリスクも同時に分析可能。IDE連携により、開発段階での脆弱性検出に向いています。

• FOSSA(商用)

FOSSA は、OSSライセンスの自動判別とコンプライアンスチェックに定評があります。法務部門向けに洗練されたレポーティング機能を提供しており、ガバナンス強化を目的とする企業に人気です。

• FossID(商用)

FossIDは、ソースコードがなくてもバイナリからSBOMを生成可能です。レガシーシステムや第三者提供ソフトの管理に有効で、AIを用いたコード類似性検出の精度も高い点が特徴です。

• Insignary Clarity(商用)

Insignary Clarityは、ビットコードレベルでのバイナリ解析により、誤検出を最小化させます。ファームウェアや組み込み機器に多用される環境で、OSS利用実態の把握に貢献します。

• MEND SCA(旧WhiteSource)(商用)

MEND SCA は、CI/CD環境にシームレスに統合され、依存関係の変化をリアルタイムに検知可能です。セキュリティポリシーに反するパッケージを自動でブロックしたり、Slack通知を活用した運用も容易です。

• Snyk(商用)

Snykは、開発者フレンドリーなUIで人気です。GitHubやGitLabとの連携に優れ、SBOM出力とともに脆弱性検出・修正提案までワンストップで実行可能となり、個人や小規模チームから大企業まで対応します。

• Sonatype Lifecycle(商用)

Sonatype Lifecycleは、ライブラリごとのセキュリティ、ライセンス、保守状況をスコア化し、「健全なコンポーネントの選定」を支援します。SBOMを起点に、ソフトウェアの品質と寿命を管理できるのが強みです。

• Dependency-Track(無償)

Dependency-Track は、CycloneDXフォーマットを採用し、SBOMデータを一元的に管理します。複数プロジェクトにわたる依存関係と脆弱性の影響範囲を即座に把握でき、自社環境での構築にも対応します。

• Syft & Grype(無償)

SyftがSBOM生成、Grypeが脆弱性スキャンを担う、軽量でスクリプト化しやすいCLIツールです。CI/CD環境との親和性が高く、セキュリティ意識の高い開発チームで広く利用されています。

SBOMツールの導入ステップと運用フロー

ここでは、導入から継続運用までのステップを整理します。

①SBOM適用の範囲と目的の整理

まず最初に、自社がSBOMをどのシステム・製品に対して適用するのかを明確にします。法令対応が目的であれば提出対象の製品を、社内セキュリティ強化が目的であれば開発プロセス全体を対象にするなど、適用範囲の絞り込みと目的設定が今後のプラットフォーム選定やKPI設計の基盤となります。

②プラットフォーム選定

目的に応じて、適切なSBOMツールを選びます。たとえば、「CI/CDへの組み込みが必要か」「SPDXやCycloneDXへの対応は十分か」「脆弱性やライセンス情報の検出精度はどうか」などの評価軸を設け、実際の環境でPoC(概念実証)を行い、自社とのフィット感を確認します。

③コンポーネント解析とSBOM作成・共有

初期フェーズではフルスキャンを実施し、全体のOSS構成を把握します。その後差分ベースのスキャンへ移行して負荷を軽減します。生成されたSBOMは、標準フォーマット(SPDX、CycloneDX等)でエクスポートし、提出先や社内共有に活用します。署名やハッシュを加えることで、改ざん検知や監査対応にも備えられます。

④脆弱性モニタリングとVEX対応

SBOMを活用した運用では、CVE情報の定期モニタリングが重要です。修正未対応の脆弱性に対しては、VEX(Vulnerability Exploitability eXchange)を用いて「なぜ放置しているか」を文書化し、リスク説明責任を明確にする体制が必要です。

SBOMツール導入の本質は「SBOMを作る」ことではなく、「SBOMを使い続ける」体制づくりにあります。段階的にスコープを拡大しながら、着実にセキュリティと透明性の底上げを図りましょう。

SBOM管理ツールの導入を検討中ならば、富士ソフトにご相談ください

CRA対策などで、SBOM管理ツール導入の必要性が増していることを理解しつつも、社内的なリソースの問題やノウハウの欠如などで、思うように進められないなど、お悩みではないですか?

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その知見を踏まえつつ、富士ソフトはBlack Duck社とマクニカ社との3社パートナーシップで、お客様の製品やサービスに関するSBOM管理ツールの導入から運用まで、一括してサポートするOSS管理/SBOM管理ソリューションをご提供しております。

まとめ

SBOMツールは、単なる“部品表作成”にとどまらず、ソフトウェアの安全性・透明性・信頼性を高める基盤です。法規制対応はもちろん、脆弱性管理やライセンスリスクの低減、DevSecOpsの推進にも貢献します。いまや、SBOMは“作る”だけでなく“活かし続ける”時代。貴社に合ったツール選定と運用体制の整備が、将来の競争力にも直結します。本記事が、貴社のSBOM活用の第一歩となれば幸いです。

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