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ソフトウェアテストとは?【初心者向け】目的・種類・工程・最新動向まで徹底解説

ソフトウェアテストとは? 公開日:2025年5月19日

バグはゼロにできない——それを前提に、いかに早期に検出し、品質を担保するか。ソフトウェアテストは単なる動作確認ではなく、信頼性と開発効率を両立させる“設計の一部”です。本記事では、基本のソフトウェアテスト技法から、アジャイルや自動化、AI活用といった最新トレンドまでを体系的に解説。品質とスピードを求められる現場で、改めてテストの本質を見直してみませんか?

目次

なぜソフトウェアテストが重要なのか

ビジネスにおけるソフトウェア品質の重要性

デジタル化が進む現代において、ソフトウェアは企業の競争力の中心となりました。Webサービスやモバイルアプリ、業務システムなど、さまざまな場面でソフトウェアは顧客体験やそれによる顧客満足度を左右しています。いまでは不具合のない高品質なソフトウェアを提供することが、企業の業績に直接影響を与えるようになっています。

実際、ソフトウェアの不具合が重大な損失を招いた事例は枚挙にいとまがありません。エアバックの感知器にバグが見つかり、膨大な数の車両をリコールすることになった自動車メーカー、POSデータの不具合で店舗を閉鎖することになったハンバーガーチェーン、ハッキングによって数百億もの被害を出した暗号資産取引所、ごく最近でもセキュリティ製品のバグで、Windows端末がブルースクリーンになるエラーが起こり、世界中の交通インフラ、金融サービス、病院、政府機関がダウンしたことを記憶されている方も多いのではないでしょうか? Windows端末の障害による被害額は、当時54億ドル(約8300億円)になるともいわれていました。

ソフトウェアの品質が企業の信頼性やブランド価値に直結することはもちろん、その生存を決めるかもしれない時代において、ソフトウェアテストの重要性はますます高まっています。

品質管理におけるソフトウェアテストの位置づけ

ソフトウェア品質は「機能が正しく動作するか」だけでなく、「パフォーマンス」「セキュリティ」「ユーザビリティ」など多面的な観点から評価されます。その品質を保証する手段がソフトウェアテストです。ソフトウェア開発は人間の手による創造的な作業である以上、バグの混入は避けられません。それを前提としつつ、早期にバグを発見・修正することで、コストを抑えながら信頼性の高いソフトウェアを提供することを実現するのが、ソフトウェアテストの大きな目的になります。

ソフトウェアテストは、ソフトウェアの品質状況の共通認識を開発チーム内へ提供したり、次に何に取り組むべきかのリスクを検討する材料を提供したりすることもできます。また、個人の経験による属人的な判断ではなく、ソフトウェアテストの結果というデータに基づく意思決定が可能となります。このように、ソフトウェアテストはソフトウェア開発全体の成熟度を高める役割を担っています。

ソフトウェアテストの分類

ソフトウェアテストは実施タイミング、テスト技法、実行方法によって分類できます。

テストレベルによる分類

開発の進行に合わせて、テストは段階的に実施されます。これを「テストレベル」と呼びます。

単体テスト(Unit Test)

個々の関数やモジュールを対象に、正しく動作するかを確認します。主に開発者がコードレベルで実施します。

結合テスト(Integration Test)

複数のモジュールが連携したときに、データの受け渡しや処理が正しく行われるかを検証します。

システムテスト(System Test)

システム全体として要件を満たしているかを確認する工程です。ユーザー視点での総合的な検証が行われます。

受け入れテスト(Acceptance Test)

顧客やユーザーがシステムを評価する最終段階のテストです。業務フローや仕様との整合性を確認します。

ソフトウェアテスト技法による分類

ブラックボックステスト

ソフトウェアの内部構造には踏み込まず、外部からの入力と出力の妥当性を検証するテスト手法です。仕様書や要件定義に基づいて、ユーザー視点での品質を確認するのに適しています。代表的なテスト設計技法として、入力値を有効・無効のグループに分けて代表値をテストする同値分割、境界部分のバグを見つけやすい限界値分析(境界値分析)、条件の組み合わせとその出力結果を整理するデシジョンテーブル(決定表テスト)、条件と結果の因果関係を視覚化する原因結果グラフ、状態ごとの振る舞いを検証する状態遷移テスト、少ないテストケースで網羅性を高める組み合わせテスト(ペアワイズテスト、直交表テスト)などがあります。

ホワイトボックステスト

ソフトウェアの内部構造やロジックに着目し、ソースコードの網羅性を評価するテスト手法です。主に開発者によって実施され、特に単体テストで用いられます。カバレッジ指標には複数の種類があります。代表的なものとして、すべての命令を1回以上実行する命令網羅(C0)、すべての分岐を検証する分岐網羅(C1)、条件ごとの真偽をすべて試す条件網羅(C2)、判定条件と個々の条件両方を網羅する判定条件/条件網羅、さらにすべての条件の組み合わせを確認する複合条件網羅があります。また、最も厳密な基準として、すべての実行経路を確認する経路網羅も存在します。

経験ベースのテスト

経験や直感、過去の障害事例に基づいて、バグが発生しやすい箇所を重点的に検証するテスト手法です。仕様に明示されていない問題の発見にも効果があり、設計やコードが不完全・不明確な場合にも有効です。代表的なアプローチに、開発者やテスターの経験からよくあるミスを予測してテストケースを作る「エラー推測」、テスト実行中に気づきを得ながら試行錯誤的に進める「探索的テスト」、事前に定義したリストに基づいて項目を網羅的に確認する「チェックリストベースドテスト」、そして自由な操作で思いつくままに検証する「アドホックテスト」があります。これらは形式的な仕様に頼らず、現場感覚と柔軟な思考を活かせる点で特に実践的です。限られた時間でテスト効果を最大化したい場面に適しています。

実行方法による分類

人がチェックする手動テスト、ツールを用いて繰り返し実行される自動テストなど、実行方法による分類もあります。また、「動的」「静的」で分けることもあり、一般的には以下のような違いがあります。

静的テスト

コードの実行を行わないテスト方法です。レビュー、コード解析、Lintツールの使用などが該当します。早期の欠陥検出や仕様の妥当性確認に有効な手法です。

動的テスト

実際にソフトウェアを動かして、動作や出力の妥当性をテストする方法です。一般的な単体・結合・システムテストはこちらに含まれます。

ソフトウェアテストはたいていの場合、動的テストを指します。

ソフトウェアテストのプロセス

ソフトウェアテストは、単なる「動作確認」ではなく、計画から結果の分析までを含む一連のプロセスです。この流れを理解することが、テストの品質と効率を高めるために重要です。

テスト計画:戦略の策定と目的の明確化

テストプロセスの第一歩はテスト計画の策定です。どこをどのように、どこまでテストするのか、リソースやスケジュールはどう確保するか、といった方針をここで定めます。特に重要なのが「何をもって品質が保証されたと判断するか」という合格基準の明示です。これを曖昧なまま進めると、後工程で手戻りが発生する可能性が高くなります。

テスト設計:仕様に基づいたテストケースの作成

ここでは仕様書や要件定義書をもとに、テストケースやテスト項目表を作成します。どの入力に対して、どのような結果を期待するのかを明確にし、テストの再現性と客観性を確保します。ブラックボックステストやホワイトボックステストの技法を適切に選び、網羅性と効率性のバランスを取ることがポイントです。

テスト実行:環境構築と検証

設計したテストケースに基づいて、実際のソフトウェアに対してテストを実行するフェーズです。ここではテスト環境(OS、ブラウザ、ネットワーク条件など)を準備し、テストを実行し、テスト結果を記録します。不具合が発生した場合は詳細なログや再現条件を記録しておくことで、不具合の修正対応や修正確認、回帰テストがスムーズになります。

テスト結果の分析と報告:品質の可視化

テストの終了後は、結果の分析とレポート作成を行います。発見された不具合の数や重大度、再現性、修正状況などをまとめて関係者に共有し、製品リリースの判断材料とします。また、報告書には「どのテストを行い、どこまでカバーできたか」も明記されていると、品質保証の根拠として信頼性が高まります。

テストプロセス全体の意義

このように、ソフトウェアテストは単なる確認作業ではなく、品質を「設計し、実証し、証明する」ためのプロセスです。形式的にテストプロセスを遂行するのではなく、各ステップでのテストの目的を明確にすることでテスト全体の効果を高めることができます。

テスト戦略とテスト計画

テスト戦略とは何か?

テスト戦略とは、組織がソフトウェアテストを実施する際の基本方針や手法を定めたもので、プロダクトやプロジェクトのリスクに基づき、テストの範囲、目的、優先順位、手順などを体系的に定義するものです。組織やプロジェクトのニーズに応じて異なるアプローチが採用されます。代表的な戦略には以下のようなものがあります。

分析的戦略(リスクベースドテストなど)

システム要件やリスクを徹底的に分析し、その重要度や影響度に基づいてテスト項目を優先的に決定するアプローチです。

モデルベースド戦略

システムの動作や利用状況をモデル化し、その環境や負荷条件に基づいてテストを行う方法。例えば、アプリの性能テストでは、実際のネットワークトラフィックやユーザ数を考慮したモデルを作成し、現実的な負荷アプローチです。

系統的テスト戦略

テスト標準や事前に用意されたチェックリスト、ベストプラクティスに従い、一貫性と再現性を重視したテストを行うアプローチです。

プロセス準拠戦略

ISOなどの業界標準や規制に従い、厳密な手順とドキュメント管理を伴うアプローチです。

対処的戦略

ソフトウェアが提供された後に、即座に必要な設計とテストを実施するアプローチです。

コンサルテーションベースの戦略(ユーザ主導のテストなど)

ステークホルダの意見やフィードバックを取り入れて、テストを実施するアプローチです。

回帰的テスト戦略

ソフトウェア変更後も機能が正常に動作するかを確認するために、テスト自動化ツールで繰り返しテストを実施するアプローチです。

選択するテスト戦略は、組織のニーズや手段に適合していなければならず、個々の運用やプロジェクトに合わせて戦略を調整したり、異なる戦略を組み合わせることもあります。

テスト計画の主な要素

戦略に基づいて策定されるのがテスト計画です。これはプロジェクトにおけるテスト活動の設計図にあたり、以下の要素を含むことが一般的です。

テスト対象と範囲

どの機能やシステムをテストするのか等、テスト対象の範囲を記載します。

テストの目的と成功基準

テストの目的と目的を達成するための合格基準を記載します。

スケジュールとマイルストーン

どのテストをいつ行うのかを記載します。

使用ツールと環境

テスト管理ツールやテスト実行環境を記載します。

リスクと対策

テスト活動において予測される問題と回避策を記載します。

戦略と計画が果たす役割

ソフトウェアテストは「なんとなく行う確認作業」になってしまうリスクを常にはらんでいますが、綿密な戦略とそれに基づいたテスト計画を立案・実行していくことで、限られたリソースの中でも最大限の品質を確保することができます。

プロジェクトの規模が大きくなるほど、計画性と戦略性の有無が最終成果に大きく影響します。特にアジャイル開発や短期リリースが求められる現場では、柔軟性と優先順位を明確にしたテスト戦略が不可欠です。

テストドキュメントの重要性

なぜテストドキュメントが必要なのか?

ソフトウェアテストは多くの工程と関係者を含むため、認識のズレが大きなリスクとなります。これを防ぐためには「明文化」が重要です。テスト計画書、テスト設計書、テストケース、バグレポート、テスト結果報告書など、テスト活動に関する各種ドキュメントを整備することで、次のようなメリットがあります。

  • 再現性の確保:過去に何をどうテストしたかを正確に再実行できる
  • 品質の可視化:テストの進捗やカバレッジ、バグ状況を客観的に共有できる
  • 引き継ぎや外注に対応:担当者が変わっても一貫したテストができる
  • 第三者検証への対応:外部QAや顧客に対して、テスト実施の証跡を提供できる

よく使われるテストドキュメントの種類

  • テスト計画書:テストの目的、範囲、体制、スケジュール、リスクなどをまとめたもの
  • テスト設計書:テスト観点や仕様をもとにした網羅的なテストケースの設計情報
  • テストケース:個別の操作、入力、期待結果を記述した実行単位の一覧
  • バグ報告書(不具合票):発見された不具合の詳細、再現手順、優先度などの記録
  • テスト結果報告書:実施状況やバグの傾向、品質の評価などの最終まとめ

「軽量化」と「形式主義の回避」のバランス

近年ではアジャイル開発の普及により、「ドキュメントは最小限でよい」という意見もあります。しかし、ドキュメントが全く存在しないと、障害の再現性や改善活動が困難になり、属人的な対応に依存することになります。

重要なことは、目的に合わせて必要な情報をシンプルに、形式にこだわり過ぎずに残すことです。例えば、Excel を使うのではなく、専用のテスト管理ツール(TestRail や qTest など)を使って仕事を効率よく進めたり、Git やチケットで記録をまとめて管理する工夫も役に立ちます。

ソフトウェアテストにおけるトレーサビリティの重要性

ソフトウェアテストにおけるトレーサビリティ(traceability)とは、「要求仕様」「テストケース」「テスト結果」「不具合報告」などの情報同士を相互に紐付けて管理する仕組みを指します。ある要件に対して、どのテストが実施され、どの不具合が関連し、どの修正が行われたかを、前後関係をたどるように把握できる状態のことです。

例えば、機能仕様書に記載された「ログイン機能」の要件が、テストケースの何番に該当するか、どのバグ報告に関係しているかが追えることで、仕様変更があった際の影響範囲の迅速な特定や、テスト漏れの防止が可能になります。

トレーサビリティは品質保証の証拠としての役割も果たします。第三者検証や外部監査では、「この不具合は、どの仕様をもとに検出されたのか?」「この修正に対する再テストは済んでいるか?」といった証跡の提示が求められる場面も少なくありません。そういった時、トレーサビリティが担保されていることは、持続的な改善活動の基盤となります。

より効果的なソフトウェアテストに向けて

テスト戦略や手法の選定、最新技術の活用など、より実践的かつ効果的なソフトウェアテストを実現するための主要なポイントを紹介します。

テストの7原則:基礎に立ち返る

テストの7原則は、ISTQB(国際ソフトウェアテスト資格認定委員会)が定めたソフトウェアテストの基本的な考え方です。世界中のテスト実務や研究を通じて得られた経験則をISTQBが体系化したもので、初心者からプロフェッショナルまで、あらゆるレベルのテスト活動に共通する指針として広く認知されています。ここではそのエッセンスをご紹介します。

【参照元】テスト技術者資格制度Foundation Level シラバス(1.3 テストの原則)
https://jstqb.jp/dl/JSTQB-SyllabusFoundation_VersionV40.J02.pdf

テストは欠陥が存在することを示せるが、欠陥がないことは示せない

テストを実行することで欠陥を見つけることはできますが、潜在的な欠陥が残っている可能性を排除することはできません。

全数テストは不可能

すべてのテストケースを実行することは、とても小さなソフトウェア以外では非現実的です。テスト技法や優先順位付け、リスクベースドテストなどを用いて、効果的にテストケースを選定する必要があります。

早期テストで時間とコストを節約

プロセスの早い段階で欠陥を取り除くことができれば、起こるはずだった欠陥の作りこみがなくなるので、品質コストは削減されます。例えば、仕様策定時点で欠陥(仕様誤り)を作りんだ場合、仕様書レビューで発見するのとシステムテストで発見するのとでは前者の方が圧倒的に品質コストは小さくなります。

欠陥は偏在する(よく使う機能にバグが集中しやすい)

見つかる不具合の大部分は少数のコンポーネントに集中します。これはリスクベースドテストの重要なインプットとなります。

同じテストでは新たな欠陥は見つかりにくくなる(テストの弱化)

同じテストを何回も繰り返すと、新たな不具合が見つかりにくくなります。新しくテストケースを追加することを検討する必要があります。リグレッションテストのように同じテストを繰り返すことでデグレ・エンバグを検出することが目的のテストもあります。

テストはコンテキスト次第(プロジェクトごとに適した方法が異なる)

テストには、いつでもどこでも通用する普遍的なアプローチは存在しません。テストは目的に応じて適切に行う必要があります。

「欠陥ゼロ」の落とし穴(妥当性確認の必要性)

不具合の数がゼロであっても、ソフトウェアの品質がよいとは限りません。ビジネスニーズを満たせていなかったり、ユーザーにとって役に立たないソフトウェアになっているリスクはあります。要件のテストだけでなく、ソフトウェアの妥当性確認も実施を検討する必要があります。

テスト自動化の導入

開発スピードと品質の両立が求められる中、テスト自動化はソフトウェアテストの効率化を図る強力な手段として注目されています。特に、リグレッションテストや回帰テスト、単体テストなど繰り返し実行が多いテストは、自動化することで大きな工数削減に繋がります。

テスト自動化には以下のようなメリットがあります。

  • テストの実行精度・再現性の向上
  • テスト時間の短縮による開発サイクルの高速化
  • 人的リソースの最適化(深い検証に人員を集中できる)

テスト自動化には初期構築コストが高い、仕様変更に伴うスクリプト修正が必要といったデメリットもあります。すべてのテストを自動化するのではなく、自動化に適したテストを見極めることが重要です。

一般的にテスト自動化に向いているのは以下のようなテストです。

  • 頻繁に繰り返すリグレッションテストや回帰テスト
  • 入出力が明確な単体テスト
  • データ駆動型の大量処理テスト
  • エラー検出よりも合否判定が重視される確認作業

テスト自動化を導入する際は、国際的に認知されている「テスト自動化の8原則」も参考になります。例えば、「明確な目的を持つこと」「人間の判断が必要なテストは対象にしない」など、成功に導くための実践的な指針が整理されています。
詳しくは、テスト自動化についての解説記事をご確認下さい。

テスト自動化ツール選定も成功の鍵を握ります。富士ソフトでも導入されているUiPath Test Suiteは、RPAツール由来で、ローコードでのテストケースが可能になっていたり、AIを活用してスクリプトの修正が軽減されていたりなど、元々あったテスト自動化の欠点がケアされるようにもなっています。

アジャイル開発におけるテストの工夫

変化が激しい現代の開発現場ではアジャイル開発(Agile development)が普及し始めています。アジャイル(Agile)の本質上、そこでのテストは「後工程での検証」ではなく、開発と同時進行する「継続的テスト」が基本です。以下のような考え方がよく使われます。

  • アジャイルテストの4象限:ビジネス視点/技術視点、支援目的/評価目的で分類し、バランスよくテストを配置
  • TDD(テスト駆動開発):コードを書く前にテストを書くことで、仕様の明確化と品質向上を図る

第三者検証の活用

第三者検証(Third-Party Testing)は、開発チームとは異なる独立した専門組織がソフトウェアの品質を検証するプロセスです。テスト対象に対して「開発者の思い込みやバイアス」に左右されない客観的な評価ができるのが最大の特徴で、一般的には、自社とは別の外部の会社に依頼するものを指します。

ソフトウェア開発の現場では仕様やコードに長く関わっているほど、“慣れ”や“思い込み”により不具合を見逃すリスクが高まります。第三者検証はこの課題を解消し、利用者目線に立った品質保証を実現することができます。

外部のテスト専門企業を活用することで、リソース不足の補完や高負荷時のテスト分散も可能になります。特に以下のようなケースで導入効果が高くなります。

  • リリース直前の最終品質評価
  • セキュリティやアクセシビリティなど専門性の高い検証
  • アジャイル開発における定期的な品質レビュー
  • 国際基準(ISO、IEC等)に準拠した品質証明の取得支援

第三者検証の結果は経営層や顧客への説得力ある品質保証の証拠としても活用できます。内製と外部の視点を組み合わせることで、より立体的かつ信頼性の高いソフトウェア品質を実現できます。

AIを活用したソフトウェアテスト

近年、AI(人工知能)の進化により、ソフトウェアテストの在り方そのものが変わり始めています。従来は人手に頼っていたテスト分析やテスト設計、テスト実行といった工程にAIを取り入れることで、品質向上と工数削減はもちろん、テストのプロセス全体に変革が起き始めています。

AIテストツールの可能性

AIを活用したソフトウェアテストツールでは、以下のような機能が実装されています。

  • テストケース自動生成:仕様書やUIの構造をもとにAIがテストパターンを作成
  • 画面認識によるUIテストの自動化:ボタンやリンクなどの変化を AI が学習し、柔軟に追従し、テスト実行メンテナンス工数が減少
  • テスト結果の自動分類:テスト実行の失敗原因を AI が分類し、解析を支援
  • 自然言語によるテスト作成:非エンジニアでもテスト仕様を記述可能にする機能も登場

AIは「自動化」だけでなく、「支援型ツール」としても有効です。過去のテストデータを学習させることで、類似バグの傾向分析や、テストケースの優先順位付けが可能になります。レポート作成支援機能では、失敗したケースのスクリーンショット、ログ、エラーの推定原因を自動で整理する機能が登場しており、報告作業の手間を大幅に軽減します。

テストエンジニアの役割の変化

AIによる支援が進むことで、テストエンジニアの役割も変化しています。単なる「実行者」から、「テスト戦略の設計者」「AIの出力を監督・補完する専門家」へとシフトしています。例えば、AIが生成したテストケースの妥当性を評価し、仕様の意図と合致しているかを判断するのは依然として人間の役割です。

AIの得意なこと・不得意なこと

AI が得意なのは大量データの処理やパターン認識、繰り返し作業の最適化です。一方で、倫理的判断や業務知識を踏まえた例外対応は人間にしかできません。AI と人の役割分担を明確にし、協調的に活用することが今後のソフトウェアテストにおける鍵となります。

まとめ:品質の高いソフトウェア開発のために

本記事ではソフトウェアテストの基本から最新動向まで、初心者にもわかりやすく丁寧に解説してきました。ソフトウェアテストは単なるバグ探しではなく、信頼性とユーザー満足度を担保するための戦略的な活動です。

適切なソフトウェアテストを実行する第一歩は、テストがなぜ重要なのかを理解し、テスト目的を決めることです。そこからブラックボックス/ホワイトボックステストなど、テスト目的に沿ってテスト技法を選択できるようになることが二歩目となります。適切なテストウェアテストには、要件からバグまでを一貫してつなげるトレーサビリティやドキュメントの整備が体制づくりに欠かせません。

さらに、開発現場の変化に対応するために、アジャイル開発やテスト自動化AI活用といった新たな技術・考え方も柔軟に取り入れていく姿勢が求められます。これにより、品質とスピードを両立したソフトウェア開発が可能になります。

今後、ソフトウェアテストの価値は「コスト削減」ではなく、競争力を支える“攻めの品質保証”としてますます重要性を増していくでしょう。

もし、専門的な知見を持つパートナーとともに品質向上に取り組みたいとお考えであれば、第三者検証の活用も視野に入れてみてください。富士ソフトではプロの目線でソフトウェアの課題を洗い出し、信頼性の高い製品づくりをサポートします。

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